2024年11月１日（金）、本日より最低賃金が総支給額で月1,801.80ユーロ（約299,000円／１ユーロ＝166円）に引き上げられます。例年１月１日に施行されていますが、インフレを考慮したバルニエ首相の公約通り２か月前倒しとなりました。また、高止まりしているガス代はわずかながら値下げされます。パリ市では、パリ・サントル区（Centre:１区～４区）がZTL（zone à trafic limité）と呼ばれる交通規制地区に指定、本日より許可のない車両での侵入が禁止されます。
11月１日より最低賃金２％アップ、時給11.88ユーロに
現在の最低賃金の税引き前の時給11.65ユーロ（約1,933円）が今日から11.88（1,972円）に引き上げられました。
月額にすると、法定の週35時間労働で1 766,92ユーロ（約293,000円）だった給与が、今月から34.88ユーロ（5,790円）増えることになります。
年金支給額もアップ
民間企業で働いていた人が加盟する、企業年金機構Agirc-Arrcoは、11月からの支給額を1.6％引き上げました。これにより月額800ユーロ（約132,800円）を受け取っている場合、月々約13ユーロ（約2,158円）年金が増えることになります。
基礎年金にプラスして支給されるこの企業年金は、年金受給者により総受給額の20％～60％を占めています。
10月に大幅値上げのガス代、わずかに値下げ
11月の天然ガス１メガワット当りの目安料金は 135.9ユーロ（約22,560円）、10月の137.2ユーロ（約22,780円）からわずか0.95％下がっています。しかしながら10月は前月比で5.37％値上がりしており、値下がり感はありません。
パリ左岸の中心部、「車で通りぬけ」がご法度に
改名後「パリ・サントル」と呼ばれるパリ１～４区、ざっくりいうと南はセーヌ川河岸からグランブルバール通り（Grand boulevard）、サンマルタン大通り(boulevard St-Martin)まで、西はオペラ大通り（avenue de l’Opéra）東はバスチーユ広場（Place de la Bastille）とリパブリック広場（Place de la République）を結ぶ通りまで、約5.5平方キロメートル内は、許可された車両以外、車による通り抜けができなくなります。
この地区への発着、つまりこの地区内にある病院にいく、買い物に行く、映画館やレストランにいく、といった用事での侵入は許可されていますが、サントル地区以外の目的地に行くためにこのゾーンを車で通行することができなくなりました。
許可されている車両はサントル地区に住む住民、バス、タクシー、救急車や消防車、警察、バリアフリー専用車などです。
欧州他都市で導入済み、中心部から車を締め出し
今回の規制は、パリ中心部の騒音及び排ガスによる公害を削減するとしたイダルゴ市長（Anne Idalgo）の公約によるものですが、すでに自転車レーンの大幅な増設や制限速度強化などで、車での中心部の通行は著しく困難なものになっていました。
今回ゾーンから外れましたが、当初は左岸のサンジェルマン大通り（boulevard Saint-Germain）までを指定する計画になっていました。しかしながら、セーヌ両河岸の道路が通り抜けできなくなると、パリを東西に通行することが不可能になるため、今回は外されたとみられています。
ちなみに、中心部への車両規制はすでにローマやミラノ、マドリッドではすでに導入されています。
違反者、まずは「注意喚起」次の段階で「罰金」
パリ市の発表によると、導入当初はこの新しい規制を認知させるための「告知期間」とし、警官による「注意喚起」にとどめておきますが、次のフェーズで違反者に罰金を科していきます。
オペラ大通りの「大渋滞」緩和と排ガス減を期待
ラッシュアワーには車が多すぎて大渋滞になるオペラ大通り、パリ市は今回の規制導入で車の通行量が30％減るとみています。また排ガスに関しては、この通りのダイオキシン類濃度を15％減らすことが期待されています。
今後パリの心臓部にあたるこの地区を通り抜ける車は、別のルートを利用することになります。
この規制で本当にパリ中心部の空気がよくなるのか、それとも単に市内の別の地区にしわ寄せがいくのか？パリを通りぬけるのをあきらめた車で環状線がさらに大渋滞になるのか？パリ住民としては気になるところです。
執筆：マダム・カトウ
