2024年10月29日(火)、フランス国民議会は来年度予算審議の真っ只中、膨らんだ財政赤字是正のため600億ユーロ(約9兆9400億円/1ユーロ=約165円)の財源確保が急務となっています。その一環として、毎年国に膨大な費用が掛かる公務員の病欠時の給与保証が標的になっています。
フランスの公務員、病欠時の無給期間を1日から3日に
公務員がドクターストップで病欠する場合、最初の日は無給ですが、2日から社会保障機構によりその給与が100%保証されています。
病欠と有給休暇が別扱いのフランスでは、2日目からは有給休暇からも引かれなければ、給与も減りません。年間5週間ほどの有給休暇を加算すると、合計で7週間仕事をしていないことになります。
民間の場合は、最初の3日間は無給扱いになっており、社会保障機構による補填も100%ではなく90%になっており、政府はこれを「不平等」とし、公務員も民間同様に1日に減らすべきだと主張しています。
改正案が可決されれば、国は10億ユーロ(約1,660億円)の節税が可能になります。
病欠か?ズル休みか?公務員の病欠、年間14日
フランスの公務員は一人当たり年間14.5日 病欠しています。これは民間の11.6日より3日も多く、会計監査院が算出したところ、「働かない」公務員に毎年150億ユーロ(約2兆5000億円)もの費用が掛かっています。
これに対し、極左、不服従のフランス党のマニュエル・ボンパール(Manuel Bompard)は、赤字削減の名のもとに「公務員の働きぶり」を非難していると反論し、公務員の労働条件は人員削減のため年々悪化していると主張しています。さらに、民間の病欠の75%は企業により補填されていると指摘、平等にするなら民間も公務員同様「最初の1日は完全に無給にすべき」だと述べています。
ズル休み減らしに有効?
一方、中道旧与党連合、アンサンブル(Ensemble pour la République :EPR)党のフレデリック・ヴァルトゥ(Frédéric Valletoux)は、公務員のズル休みを減らすための「効果的な手段」だと主張しています。
その根拠として「2018年に教員の病欠の無給期間を1日導入したところ、病欠が25%減った」ことを上げています。
組合側は公務員への「罰則」と批判
組合側は財源確保に公務員を「罰する」というやり方に猛反対を表明しています。
組合CFDT書記長のマリリーズ・レオン(Marylise Léon)は、「公務員の病欠ではなく、(大変すぎる)仕事を治癒すべき」と、公務員の労働条件について組合と話し合うべきだと自身のXにツイートしています。
執筆:マダム・カトウ