ルーブル美術館(筆者撮影)
2024年1月16日(火)、パリのルーブル美術館(musée du Louvre)は昨日15日より、入場料を5ユーロ(約800円/1ユーロ=約159.50)値上げしました。これまで17ユーロ(約2,700円)だった料金は、22ユーロ(約3,500円)になっています。実質ほぼ30%近い値上げ、とフランスのメディアは一斉に取り上げています。
7年ぶりの値上げ、光熱費の高騰を反映、パリ五輪まであと半年
昨年12月に開かれた役員会議で値上げが決定したルーブルですが、実は過去7年間、17ユーロの入場料は据え置きされていました。
値上げのタイミングがオリンピック開催年となったわけですが、五輪期間に合わせた値上げが多いなか、地元の利用者の一人は「すべてが値上がりしているので驚かないが、うれしくない」とコメントしています。
値上げは確かに無いに越したことはありませんが、一方で、ルーブルのような規模で素晴らしい美術品を所蔵する美術館を訪問するのだから「妥当だ」という意見や、値上がりしても「もちろん行く」という人も多数います。
別の利用者は、パリ市民が皆この料金を払えるわけではないから「ローカル料金」を設定してパリ在住者に割引をしたらどうかと提案しています。
一般料金は値上げ、多くの無料対象は維持
ルーブル美術館側は、一般料金の値上げはしたものの、多数の入場料無料の設定は変更なしと発表しています。
すべての18歳未満は無料で、ヨーロッパ在住であれば26歳未満も無料で入場できます。必要な証明書の提示を条件に、失業中の人、教員、障がい者の方とその付添人、生活保護受給者も無料になります。
ちなみにオーディオガイドは、5ユーロから6ユーロ(約960円)と1ユーロ値上げされました。
2023年の入場者数、前年比14%増、コロナ禍以前に迫る勢い
昨年1年間の入場者数は890万人、パリ及び近郊の在住者の10人に6人が訪問した数に等しく、コロナ禍前2019年の960万人に迫っています。
過去最高入場者数は2018年の1,060万人でした。
値上げしてもダヴィンチ(Léonard de Vinci)の『モナリザ』(”La Joconde”)をめがけてくる人が絶えることはないでしょう。
なお、昨年の入場者のうち360万人、実に全体の40%は「無料入場」の対象者でした。
値上げ後の料金を妥当と思うか高いと思うかは別として、払える人が払い、未成年や学生などの若者、社会的弱者、教育者を無料にするというのはフランスらしい発想ですね。
執筆:マダム・カトウ