フランスの出生率2023年に大幅減少、少子化対策はいかに

2024.01.19

2024年1月19日(金)、2023年のフランスの出生率が前年対比で6.6%減り戦後最大の下げ幅となった、とフランス国立統計経済研究所(インセ;INSEE : L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques)が発表しました。2011年から減少を続ける出生率ですが、23年は新生児の数が初めて70万人を下回り、今後の少子化対策について議論されています。

 

2023年は戦後最低の出生数、人口は微増

2023年に生まれた赤ちゃんは67万8000人と、前年22年より48,000人減っています。1946年以来初めて70万人を切り、戦後最低の出生数となりました。

一方、フランスの人口は6,840万人と前年より+0.3%と僅かに増えています。

23年の死亡者数は63万1000人と、コロナ感染と猛暑による死者が多かった22年より6.5%減っていることが理由です。

フランスにおける自然な人口の増減、つまり出生数から差し引いた数値は+47,000と増加しています。

移民が人口増に貢献

2023年にフランスに流入した移民数からフランスを離れた数を差し引いた移民人口数は、推定で+183,000人、人口増に寄与しています。

 

出生率、減少加速の原因は?

一人の女性が生涯に生む子供の数は、2023年に1.68人と22年の1.79人から減少しています。

フランスでは2006年から2014年の間にほぼ2人近くあったこの数値は、2015年から2020年までの間、毎年減少していました。2021年にわずかに上昇しましたが、22年から再び減少に転じています。

出生率が減り始めた2014年から2029年まで1.6%だった毎年の減少率は、2022年に-2.2%、2023年には-6.6%と加速し始めました。

とはいえ、フランスの出生率はEU圏内では最も高く、2021年時点での欧州平均が女性一人あたり1.53人に対し1.84人でした。

出産可能な女性の数が減少

インセによると、まずフランスにおける20歳から40歳までの出産可能な女性の数自体が減ったことが第一の原因だとしています。そして、これらの出産適齢期の女性たちが子供を産まないことには、社会的な要因があると見ています。

「家庭を持つには、希望的な思考がなければなりません」と語るエクス=マルセイユ大学(Université d’Aix-Marseille)のカトリーヌ・スコルネ(Catherine Scornet)氏は、今の若い世代は「不安や心配事を持つのに慣れてしまっている」のではないかと分析します。

インフレ、戦争、気候変動リスク

経済面ではここ数年続くインフレによる物価高、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル–パレスチナ戦争などの地政学リスク、温暖化による気候変動リスクなど「将来への不安材料」が多いため、楽観的になることが困難になっています。

また、個人的な自己実現や仕事のほうが家庭を持つことより優先され、特に高学歴の女性は、希望する子供の数が少ないもしくは全く望まないといった傾向が見られます。

 

出生率減少による社会への影響は?

子供の数の減少は、目先では学校や幼稚園、医療などの公共サービスにかかる費用が減るという、国の財政的には「ポジティヴ」な効果が得られる、とパリ経済学校(École d’économie de Paris)で教鞭をとるイポリット・ダルビ(Hippolyte d’Albis)氏は説明します。

しかしながら、これらの子供たちが大人、つまり労働年齢に達すると、効果は逆転します。高齢化社会を支えるための社会保障費用を払う人口が減るからです。

人口減の対策としては、労働人口を増やすために高齢者や女性の就業を促し、移民を増やすなどが挙げられます。

フランスの労働人口は、現在総人口の約40%にあたります。

 

子供を増やすために有効な政策は?

国立人口動向研究所(Institut national d’études démographiques :Ined)のローラン・トゥールモン(Laurent Toulemon)氏によると、子供を作ろうか迷っている人たちの背中を押すためには、仕事と家庭の両立ができるようになることが最も重要だといいます。

つまり、国がこういった人たちに対し、子供を持つ大変さを軽減するような政策をとることが最も有効なのです。

逆に、出産時にまとまった一時金を支給するといった、一過性のばらまきの効果は薄いと、トゥールモン氏は指摘します。

なぜなら、誰でもわかるように、子育てには長い年月がかかるからです。

女性に信用される政策が第一

また、政策には信憑性がなくてはならず、女性が安心して頼りにできるものである必要があります。

そういう意味では、フランスは長年にわたり有効な少子化対策を取ってきたといえます。そのおかげで、まだ他の先進国に比べ高い出生率を維持しています。

例えば韓国も積極的な少子化対策を行っていますが、出生率が増えないのは、伝統的な社会的圧力の強い韓国では、結局は子育てによる大きな犠牲を払うのは自分達だということを女性たちが知っているからなのです。

執筆:マダム・カトウ

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