街なかで金品を要求されたら?(1)電車内でカードを渡された場合

2017.03.07

今回から、街なかで金品を要求された場合にどのように対処すればいいかを皆さんと一緒に考えて行きましょう。

フランスに来たことのある人は何度も遭遇しているはずの、そしてこれからフランスを訪れる人はきっと、いや必ず遭遇するはずの、日本ではめったに出会わないこの貴重な体験。そんな時、現地の人は一体どのように対処しているのでしょうか。

 

パリでは日常的な風景

ひとくちに「金品の要求」といっても、さまざまなパターンがあります。

– 物乞い
– 求職
– 車内演奏
– 煙草を分けてくれないか
– 電話をかけたいので50サンチームください

…など。それぞれの事情を抱えての要求ですので、いちがいに「金品の要求は良くない。無視するべき」とは言えません。しかし見ず知らずの人に安易に金品を提供するのは、リスクもついて回ります。また、人前で不用心に現金を取り出すことは、思わぬ犯罪を誘発する怖れもあります。

それぞれのパターンでどのように対応すべきか、見て行きましょう。

 

電車内でカードを配ってくる

メトロに比べて比較的乗車時間が長いRER ( Réseaux Express Régional 首都圏高速鉄道網)では、なにかのメッセージが書かれたカードを座席に配っている人をよく見かけます。そのカードがこちら。

「私には雨をしのぐ場所がありません。4人の兄弟がいますが、仕事はありません。どうか私と家族が生き残れるようにお助けください。あなたとあなたの家族に神のご加護がありますように。良い一日を。この紙はお返しください。ありがとうございます。1€かティケレストラン※1をお恵みください」と書かれており、誰が配るカードでもほぼ同じような内容です。

※1:un ticket restaurant :企業が社員に交付するレストラン利用券。フランス国内ほとんどのレストランで利用でき、社員以外でも使用可。

配り終えるとカードを回収しながら「S’il vous plaît…(お願いします)」と言ってまわるのです。

でもカードがなにか分からず…

僕が初めてフランスへ来た時、RER内で配られたこのカードを見て「車内検閲か?!」とドキドキしながら辞書をめくったのを覚えています。

鞄をごそごそとあさりながら真剣にそのカードを読んでいたので、僕がお金をあげるものだと思われ、僕の前で小銭をチャランチャランと音をさせながら待たれていたのを思い出します。

 

子どもをつれた女性が回ってくる

また小さな子供を連れた母親(と思われる女性)が、各座席を回るのもよく見かけます。彼らが通りかかる時にポケットに手を入れたり鞄を開けたりすると「恵んでもらえる」と誤解を与え、執拗にお金を要求されることもあります。お金をあげる場合はいいのですが、そうでなければ通り過ぎるのを待ちましょう。

スリやひったくりとの繋がりに注意

注意をしなければいけないのは、彼らがスリやひったくりと繋がっていることもある点です。彼らが不法移民である可能性もあり、財布を出した瞬間に別の人がひったくったり、財布の場所を確認されてその後スリにあう怖れがあります。

現地の人はほとんど関心を示さず、彼らの要求に応じるのはだいたいが外国からの観光客です。あげたくない場合は無視をするか、首を横に振りましょう。はっきりと「NO」という態度を示すことが大切です。

フランスに多い「サン・パピエ」

前述したように、電車内でこのようなカードを配っている人の中には、フランスに不法滞在している人も含まれます。彼らは正規で労働することができないため、こうした手段を選ぶのです。

フランスはその地理的・政治的事情から、日本では考えられないほど多くの不法移民がいます。滞在許可証を持っていないことをよく、「sans papier サン パピエ(紙なし、書類なし)」と表現します。これはフランス語がそれほど話せない人でも簡単に発音できるので、僕の住んでいる移民の多い地区では頻繁に耳する表現です。

 

フランスの影の部分も知っておく

移民問題についてここでは言及しませんが、旅行する時には事前に華やかなフランスの影の部分を知っておくことも大切です。

続きはまた次回にお話しすることにしましょう。
執筆 Daisuke
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