パリで多発するスリ被害(1)少年少女グループに注意

2016.11.29

年間の観光客数が世界一の観光立国、フランス。その中でも最も観光客が集まる観光都市、パリ。日本はもちろんアジア諸国からの観光客の増加に伴い、彼らを狙った軽犯罪も年々増加傾向にあります。今回から数回に分け、パリで頻繁に起こる犯罪の種類や、犯罪に遭わないためのちょっとした工夫をお届けします。

 

年々増加するスリやひったくり

観光客を狙った主な犯罪には、スリ(Pickpocket ピックポケット)・ひったくり・置き引き・詐欺・警官を装ったクレジットカード詐欺・強奪などがあります。

また、軽犯罪とはいえない暴力事件も起こっています。安全で日本大使館からの渡航注意情報は出ていないとはいえ、日本とはまったく生活習慣が違い、また地域柄、多くの不法移民などがすぐ身近に存在します。不用意な発言や行動、不注意で思わぬトラブルに巻き込まれたり、犯罪を誘発する怖れもあります。

憧れのFranceについ心が躍りますが「ここは日本ではない」ということを常に意識しながら行動し、楽しい旅行・滞在にしたいものです。

 

観光客を狙う電車内スリ

スリに狙われないために、お持ちのバッグは必ず閉め、貴重品の管理には充分ご注意ください

これはMétroRER の駅構内での、スリへの注意喚起を促す内容の放送です。英語・フランス語・ドイツ語・日本語・中国語・スペイン語で頻繁に放送されており、それだけスリの被害が多いことが分かります。

被害が多いのはどの路線?

スリの被害がよく起きるのは、常に混雑し、観光客がよく利用するmétro 1、2、4、6、12、13の路線などです。もちろんこの路線に多いというだけで、他は安全というわけではありません。またmétro車内に限らず駅構内でも注意が必要です。

 

少年少女のスリ集団に要注意

電車の発車間際に数人で乗り込んでくる小学生~中学生くらいに見える少年少女には充分注意が必要です。

普通の子供たちとの違いは

・見渡しても保護者がいない
・友達同士のはずなのにばらばらで立つ
・あまり会話をしていない、もしくはやたらと大声で話す
・荷物がビニール袋や小さいポシェットのようなものだけ
・それほど満員でもないのにすぐ傍に立ってくる、囲むように周囲に立ってくる
・見た感じは子供なのに妊娠している、赤ちゃんを抱いている
・頻繁に車両を移動する、駅に着くたびに下車して別の扉に移動する

…など。もちろん、このような特徴の人すべてがスリとは言えません。しかしもしこれらの多くが当てはまる集団を見た場合は、鞄をしっかりと抱くなどの注意をしましょう。

よほどのことがない限り、子供たちだけでmétro に乗せることはありません。保護者のいない少年少女のグループを見かけたら、「スリの集団かもしれない」と注意することをお勧めします。

なぜ子供たちがスリを?

フランスの法律では、13歳以下の子供を取り締まることができません。警察が連行した場合でも、半日ほど拘束されて厳重注意を受けるだけですぐに出てきます。ですから子供たちにスリをさせるのです。

 

狙われやすいのはどんな人?

大人のスリももちろんいます。それほど混雑している車内でもないのに、背後にぴったりとつかれる場合は注意しましょう。スリが狙うのは

・観光客。数日滞在して少し慣れてきた人
・扉周辺に立っている人
・注意力が散漫になっている人

などです。特にスマートフォンに夢中になっている、音楽を聞いている、お喋りに夢中になっている、寝ている人などは要注意です。

パリのmétroはほとんどの座席が4席ずつのボックス席になっていて、座席間の通路幅は狭いです。そのためスリの集団は、すぐに下車ができて乗客を囲むスペースのある、扉周辺での犯行を好みます

グループでの観光時は特に注意!

一人旅の場合は周囲に気をつけている人が多いのに比べ、グループで観光している人はお喋りに夢中になり、荷物に注意が向きにくいようです。特に、現地に住んでいる友人と一緒に観光をする場合は、安心感から注意力が欠けてしまうことがあります。

実際に一緒にいた友人がすられました

実際に僕が友人と一緒にmétroに乗っていた時、日本から来た友人が財布をすられました。幸いなことにパリ在住のもう一人の友人がスリに気づき、隣の駅で別の車両に逃げた犯人をmétroを停めて問い詰めることができました。

財布はもどり金銭的な被害はありませんでしたが、このような例はごく稀です。

その後、一連の様子を監視カメラで見ていたRATPの職員さんたちから呼び止められ、隣の駅まで逃げた犯人集団は身柄を確保され、警察に連行されていきました。

警察から「この人たちで間違いないか」と確認を求められた時に、犯人が「私たちじゃないわよね?」と白々しく言っていたのを覚えています。

次号に続きます。

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執筆 Daisuke

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