街なかで金品を要求された場合の対処方法についてお話ししています。今回は少しユニークな金品の要求方法についてお話しします。
「煙草一本くれませんか?
フランスでは煙草の料金が日本に比べて非常に高く、一箱6.5€(1€が140円として、約910円)もします。いくらフランス人にとって1€が日本人の100円のような感覚とはいえ、かなりの高額には代わりありません。
そのため、煙草を吸っている人を見かけては「すみませんが、一本いただけませんか?」と聞く若者が多くいます。なんという節約術でしょうか!
煙草を渡す人は多い
聞かれた人はほぼ必ずと言っていいほど煙草をあげます。「自分で買ったらどうですか?」なんて返す人は殆どいません。
友人に「断ることは出来ないの?」と聞くと「残りが少ない時以外はほとんど断らないね。断ったらサンパ(sympa 感じの良い)じゃないだろう?」と。
煙草を吸うのにライターを持っていない人もかなり多く、「すみません、火を借りてもいいですか?」と聞かれることも頻繁にあります。
箱ごと持っていかれないよう注意!
煙草をあげる際の注意点は、必ず自分で一本だけ出して、それを相手に渡すことです。ときどき数本抜かれたり、箱ごと持っていかれることもあります(!!!!)。
一番気をつけなければいけないのは、エッフェル塔などの観光地で少年の集団から煙草を要求された場合です。彼らは大抵スリやひったくりの常習犯です。煙草をもらうふりをして箱ごと奪って逃げて行き、それを追いかけようとその場を離れた隙に別の子供が鞄などを奪い去る、という事件が多発しています。
電話をかけたいから…
僕も何度も遭遇した、新手のタイプです。普通のどこにでもいそうな中学生くらいの、思春期まっただ中な感じの少年や少女のグループが近づいてきて、凄く申し訳なさそうに
「Monsieur 、すみません。私たち今電話をかけなくちゃいけなくて。小銭を持ち合わせてないので50サンチームか1€もらえませんか?」
初めて僕がそれに遭遇したのは留学1年目。「え、なんでいかにも外国人な僕にそんなこと聞くんだろう。もっと他に聞きやすそうな人いっぱいいるのに」と不審に思いつつ、でも凄く困った顔をしているので、つい気の毒になりその場で1€を出したのです。
すると。僕の手からその1€コインをパッととって、Merciも言わずに皆で笑いながらその場を去っていきました。「やられた~!!」と思っても後の祭り。お金を出したのは自分自身だし自分の責任です。煮え切らない思いをしつつも、いい勉強になったと諦めることにしました。
でも公衆電話は全てカード式
よく考えれば、こちらの公衆電話は全てカード式。小銭は使えません。それにこのご時世です。いくら思春期くらいの若い子供たちとはいえ、そのグループのだれも携帯電話を持っていないなんて考えられません。
その後も自宅近辺や観光地、比較的裕福な界隈でアドレソン(un(e) adolescent(e) 思春期の男子、女子)のグループから、全く同じ内容で何度か聞かれました。
どんな返事をすればいい?
もちろんそれ以降は「必要なら携帯を貸そうか?」とか「両親に聞いた方がいいんじゃない?」と返事をするようにしています。彼らが少し残念そうに去っていくのを見て、「甘いな、次はもっと考えて挑戦してきな」とほくそ笑む心の余裕が出来ました♪
それにしても、なぜあっちでもこっちでも同じフラーズ(une phrase 文章、フレーズ)なのでしょうか…。François さん(45歳)は言います。「一番もっともらしい理由をつけるんだよ。『電話をかけなきゃいけない』というのが一番成功率が高いんじゃないかな。でも、みんな同じ理由というのがアドレソンらしいね(笑)」。
なるほど。子供たちの間で流行っているのかもしれません。
だまされても深追いはしない
ここまで街なかで金品を要求された場合について書いてきましたが、応じるか否かはあなたの自由です。ただしあくまでも自己責任のもとで対応し、たとえ「騙された」と感じることがあっても深追いはせず、渡す金額は「仕方ない」と済ませられる程度しておくのが無難です。
執筆 Daisuke