2025年12月12日(金)、クリスマスを2週間後に控え、街角の花屋にはツリー用のモミの木が、スーパーや食料品店ではクリスマスディナー向けの食材が並び始めました。今年のクリスマスディナーの平均予算は155.30ユーロ(約28,300円/1ユーロ=約182円)で、昨年とほぼ横ばいですが、3年前と比較するとほぼすべてが大幅に値上がりしています。
チョコレート価格高騰も、クリスマスディナー予算は微減
フランスのクリスマスディナーの典型的なメニューの主要12品目の平均価格を、市場調査会社(ニールセン)が調べたところによると、合計155.30ユーロと、昨年の157.07ユーロ(約28,586円)から1.77ユーロ(約322円)、約1.1%ほど下がっています。
確かに2年連続で下がっているものの、価格は高止まりしていると言えます。
最も値上がり率が激しいのはチョコレートで、詰め合わせ一箱が14.81ユーロ(約2,695円)です。
昨年生産減で高騰したフォアグラ、大幅値下がり
クリスマスの食卓に欠かせない、フォアグラは1瓶17.91ユーロ(約3,300円)と、前年比で9%も値下がりしています。
理由は、昨年の冬、鳥インフルエンザの影響で需要のピークであるクリスマス前に供給がひっ迫し、価格が高騰しましたが、今年はこういった問題がなく生産量が確保できたことです。
七面鳥、3年前から価格が15%アップ
七面鳥は1匹(約3㎏)が40.73ユーロ(約7,412円)で、昨年からの値上がりはわずか0.2%にすぎませんが、3年前と比較すると15%も値上がりしています。
クリスマスの前菜の定番、スモークサーモンは300グラムで12ユーロ(約2,184円)、こちらも昨年比では3.6%値下がりしていますが、3年前より4%も高くなっています。
ホタテ、去年より10%高く
メインディッシュの海の幸、価格が生産量に左右されるホタテは、冷凍一袋300グラムが13.19ユーロ(約円)と昨年から10%も値上がりしています。
フランス人の好物「栗」、続く大幅値上げ
冬の料理によく使われる栗、茹でた缶詰を七面鳥や高級チキンであるシャポンの丸焼きの詰め物にしたりしてクリスマスディナーに使われます。
今年は一缶(500グラム)が5.7ユーロ(約1,037円)、前年比でも6.7%の値上がりですが、3年前と比べると実に30%も値上がりしています。
栗に砂糖を加えぺーストにしたものは、そのまま食べたり、クレープに塗ったり、有名なモンブランのようなお菓子に使います。
クリスマスケーキといえば「ブッシュ・ド・ノエル」、主流はアイス版
ロールケーキを丸太のようにデコレーションしたブッシュ・ド・ノエル(bûche de Noël)は、「クリスマス」を表すフランス語「ノエル」(Noël)のディナーのデザートとして欠かせません。
パティスリーで購入する人が多いですが、このケーキのコーティングは、もともとは丸太のイメージを出すためにチョコレートのバタークリームでできていることから、甘さもカロリーも高めです。
そのため、ついつい食べ過ぎてしまうクリスマスディナーのデザートとして、近年はケーキより重たくなく価格も安いアイスクリームでできたものが人気です。
アイスクリームのブッシュ・ド・ノエルの平均価格は、昨年より24%も安い7.44ユーロ(約1,354円)となっています。
今年価格が大幅に下がったのは、メーカー側がチョコレートを避け、フルーツを使ったりと価格重視の商品バリエーションをそろえたことが理由です。
シャンパン、発砲ワイン「クレマン」にシェア奪われ値下げ
3年前と比べると9%も値上がりし、年一回のクリスマスディナーのためとはいえ、手が出にくくなったシャンパンですが、1本の平均価格は昨年より-7.6%の25.19ユーロ(約4,584円)と、大幅に値下がりしています。
「シャンパン」は、シャンパーニュ地方(Champagne)でつくられた発砲ワイン以外には使えない名称で、厳格に保護されています。
一方、「発砲ワイン」の「クレマン」(crémant)であれば、フランスの他の地方、アルザス(Alsace)やブルゴーニュ(Bourgogne)で作られたものが多く市場に出回っています。
このクレマンの価格は、7ユーロ(約1,274円)から高いものでも20ユーロ(約3,640円)までと、シャンパンよりも数段安く販売されています。
今年は輸出の低調で、販売に苦戦するシャンパン、国内消費では、安価なクレマンとの競争が激化したことから、価格が下がっています。
執筆:マダム・カトウ













