2025年7月26日(金)、フランス統計経済研究所(インセ:Insee)の発表によると、過去1年間の死亡数が出生数を上まりました。これは1945年以来初めての逆転で、出生率で先進国の優等生のフランスも少子化による人口減に向かうのでしょうか?
80年ぶりの人口自然減、予測より10年早く
2024年6月1日から今年5月31日までの1年間で、死亡数が651,000人と出生数650,000人を上回りました。
人口統計学者のジュリアン・ダモン(Julien Damon)氏は、今回の発表について「人口統計上の大きな変化が起こっているが、これはインセの分析では2035年に起こると想定されていた」と述べています。
同氏はまた、予測より10年も早く逆転した理由として、出生率の減少が「大幅に加速している」ことの表れだと指摘しています。
すでにフランス「本土」では数年前に逆転
実は、海外県を除くフランス本土(France métropolitaine)では、すでにここ数年で死亡数が出生数を上回る逆転が起こっています。しかしながら、今回の数値は海外県および地域圏(Outre-mer)(注)を含むフランス全体で逆転したことを表しています。
(注)départements et régions d’outre-mer (DROM)を指す。 マルティニーク(Martinique)、仏領ギアナGuyane、マイヨット(Mayotte)、グアドループ(Guadeloupe)、レユニオン(La Réunion)の島々。
今回の数値では、過去1年間で減った人口はわずか1,000人ですが、「減少した」ことは「懸念すべきことだ」とダモン氏は見ています。
なぜなら、これは大幅な出生数の低下を意味するからです。
人口減は徐々に「社会的バランスが崩す」からです。つまり、他の先進国で見られるように労働力の確保、医療保険、年金制度の維持に様々な問題を引き起こします。
フランスの女性、初産は29歳、50年間で5年遅く
フランスの女性の初産は平均して29歳と、1974年の24歳から5年も遅くなりました。フランスおよびEU加盟国の出産の高齢化は、1970年代後半から徐々に進んでいます。
2022年に725 ,997人だった出生数は、2023年には677,803人と48,194人の大幅減となりました。
その後も出生数は1年につきおよそ3万人ずつ減っています。
いつ人口減に転換する?
過去一年間の人口減、これは一体続くのでしょうか?
フランス労働及び健康相(ministre du Travail et de la Santé)カトリーヌ・ヴォートラン(Catherine Vautrin)は、「人口が増加から減少に転じる、人口の転換が起こるかどうか?」ではなく、「いつ起こるか?」だと述べ、フランスも高齢化社会に向かっていくことを免れないという見解を示しています。
執筆:マダム・カトウ