フランス 7月1日よりビーチや公園での喫煙禁止に 明日31日は「世界禁煙デー」

2025.05.30

2025年5月30日(金)、明日31日の「世界禁煙デー」に先立ち、フランスでは、公園やビーチなど屋外での喫煙への規制が発表されました。レストランやカフェ、オフィスなど屋内の公共スペースでの禁煙が2007年に法令化されてから18年目にして、ようやく屋外での喫煙への規制が導入されます。

 

屋外の「子供がいる公共スペース」での喫煙が禁止に

7月1日より、フランス全土の公園、ビーチ、学校の前での喫煙が全面禁止になります。違反の場合、罰金135ユーロ(約22,000円/1ユーロ=約163円)が科されます。

「子供がいる場所からタバコは抹消すべき」と、フランスの労働保険連帯家族大臣、カテリーヌ・ヴォ―トラン(Catherine Vautrin)は、今回の政令が「子供を受動喫煙から守る」ことを目的とした規制であることを強調しました。

罰金より国民の「責任感」に期待

この法令順守を徹底させるために、各自治体は「禁煙パトロール」部隊を結成するか、そうでない場合は、自治体付の自治体警察(Police municipale)(注)が違反の取り締まりを行います。

今回の法令が実際どれだけ効果があるかについて大臣は、「取り締まりよりも、国民ひとりひとりが責任感をもって自主的に行動することを信じています」と述べています。

(注)フランスで一般的に「警察」という場合は、内務省付けの「国家警察」(Police nationale)を指します。これに対し、「自治体警察」は各地町村長の指揮下にあり、地域の見回り、交通違反取締り、公園の監視、市条例の施行を任務とした地方公務員で、その活動範囲はそれぞれの自治体内に限られています。

 

カフェのテラスは対象外、電子タバコも規制外

喫煙者専用?と言いたくなるほど、もうもうと煙が立っていることが多いフランスのカフェやバーのテラスは、規制の対象外となっています。

ヴォ―トラン大臣は今回の規制導入にあたり、「あくまで子供が多くいる場所での喫煙禁止であって、喫煙の自由を奪うものではない」と明言しています。

特に若者に人気の電子タバコも対象外ですが、今回の規制とは別に、電子タバコのニコチンの含有量を抑える政令が2026年6月末に施行されます。

 

フランス人の7割、カフェやレストランのテラスの「禁煙」に賛成

YouGovが行った世論調査によると、フランス人の68%がレストラン、カフェ、バーのテラスでの禁煙に「賛成」もしくは「どちらかというと賛成」しています。さらに「全面的に賛成」は47%もいました。

対象を18歳~24歳の若者に限定すると、その割合は79%に上ることが明らかになっています。

喫煙者に対象を絞ると、確かに「全面的に賛成」と答えた人はわずか5人に一人でしたが、「絶対反対」と答えた人は52%にとどまりました。

つまり、喫煙者の半数はカフェやレストランのテラスの禁煙に賛成するか、もしくは「やむをえない」と思っていることがうかがえます。

喫煙ゾーンの設置に賛成多数

「全面的な禁止」は喫煙者の支持を得にくいですが、妥協策である「喫煙ゾーンの設置」には調査対象者の71%が賛成、喫煙者の過半数以上が賛成しています。

公共の場での全面的な禁煙、賛成6割

カフェやバーに限らず、公共の場での一切の禁煙に関しては、調査対象者全体の63%が賛成し、喫煙者の64%が反対しています。

フランス人の14%が毎日タバコをする「習慣的な喫煙者」であることを考えると、この調査結果は現実的で妥当なものであるといえるでしょう。

 

公共の場でタバコが吸えない国は?

世界一規制が厳しいのはメキシコで、2023年に施行された政令で、公共の場では一切タバコが吸えなくなっています。つまり、メキシコ人は自宅以外ではタバコが吸えなくなっています。

オーストラリアでも喫煙できない場所を設定しています。

イタリアでは、今年1月からミラノ市で新たな規制が始まり、公共の場においては、他人との距離が10メートル以内の場合、喫煙が禁止されています。

「屋外の禁煙」に着手したことを評価しつつも、パリの街で歩きタバコがなくなる日を夢見るのは筆者だけでしょうか?

執筆:マダム・カトウ

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