フランス 今年も好調なツーリズム、株暴落で先行き不透明感

2025.04.08

2025年4月8日(火)、フランスにおける昨年2024年の旅行市場は国内旅行、海外からの訪問者数ともに活況で、特に「海外からの訪問者数は過去最高を更新した」とフランス旅行業協会(Atout France)は発表しています。冬のスキーシーズン好調も大きく貢献し、今年3月までの旅行市場は前年をさらに抜く勢いで推移しています。イースター休暇を含む春の旅行シーズンは、予約も好調で順調な滑り出しとなっています。しかし一方で、トランプ米大統領が引き起こした関税戦争による経済への悪影響が懸念されており、それを受けた昨日からの株価の暴落が、先行きへの不透明感を強めています。

 

2024年、海外からフランスへの訪問者数、2%増の1億人

昨年フランスを訪れた外国人観光客数は前年23年比で2%増、それに伴う観光収入は710憶ユーロ(約11兆4,409億円/1ユーロ=約161円)にも上り、前年比で12%も増加しています。

パリ五輪などイベントが貢献、アメリカ人観光客5%増

北ヨーロッパ諸国とアメリカからの観光客が、訪問者数の伸びに特に貢献していますが、特に北米からが5%の伸びで全体を牽引しています。

一方、アジアからの訪問客数はコロナ禍前の数には到達していないものの、宿泊数が大きく伸び、中国は40%、日本は20%の伸びを示しています。

宿泊数全体は前年比で7,3%増、特にAirbnbなどの民泊が16,4%増と牽引しています。

フランスの観光収入、12%の大幅増

2024年、フランスを訪れた観光客が使ったお金(宿泊費、交通費、入場料やアクティビティ、カフェやレストランでの飲食、買い物など)は、前年に比べて12%も増加しました。

この大幅な増加の背景には、パリ五輪期間中の宿泊費やサービス料金の値上げ、高額な五輪のチケット代、さらにはインフレによる物価の上昇などがあると考えられます。

特に支出の増加に貢献したのは、ベルギー、イギリス、ドイツ、スイス、アメリカからの観光客で、これらの国からの訪問者による消費額は前年比で5〜15%の伸びを示しています。

観光支出、円安響き日本はコロナ禍前の30%減

一方で、アジア諸国からの訪問者数は前年より増えたものの、観光客の消費額は大きく減少しました。これは、ユーロ高による為替の影響が大きいと見られています。特に中国からの観光客の支出は前年比で60%減、日本からも30%減となっており、いずれもコロナ前の2019年と比べても大幅に落ち込んでいます。

 

第一四半期も好調のフランス観光業界だが

今年の1月~3月、ウインタースポーツシーズンも昨年に引き続き好調が続いています。ピレネー、アルプスを含むスキー場の宿泊施設の稼働率は85%と前年比で5,5%も増加しました。

増加に貢献したのはやはり海外からの観光客で、ドイツ、スペイン、アメリカが上位を占めています。

観光収入増に日本も貢献

今年の1月の観光収入は51憶ユーロ(約8,200億円)と前年比で8%増加しました。これは主にヨーロッパからの訪問者が貢献していますが、特にドイツ人観光客の消費額は対前年で20%も増えています。

ようやく数も増え始めた日本からの観光客ですが、年末年始の旅行シーズンを含む1月の消費額は30%増えています。

春の旅行、フランス人は「短期」「国内旅行」中心、海外旅行は前年割れ

4月〜6月の春の旅行シーズンにバカンスへ行く予定のフランス人は、全体の67%にのぼり、前年より約2ポイント増えています。 そのうち57%は「短期の旅行を予定している」と答え、75%はフランス国内で過ごす予定だとしています。一方、海外旅行は4ポイントほど減っています。

時期は6月を予定している人が最も多くなっています。

 

「トランプショック」による株暴落でどうなる?フランスのツーリズム

フランスの観光業を数と消費額の両方で牽引するアメリカからの観光客ですが、3月~5月にフランスへの旅行すると答えた人は前年比で4%ほど減っています。

一方、オーストラリアは+9%、中国は+7%と増えています。

ただし、これらの数値はトランプ大統領による高関税がスタートした6日、それを受けての7日の株暴落以前に集計されたものです。

地政学、経済「不透明」は旅行にも影響

「平和産業」といわれる旅行業は戦争など地政学リスクによる影響を受けやすく、加えて経済の不透明感、為替の変動が観光客の動向を大きく左右します。

関税にくわえ、ドル安によるアメリカから対外輸出増を目指すトランプ大統領の思惑が実現すると、アメリカ人観光客減が加速する可能性はありますが、一方で、為替の変動でウォン高や円高になれば、中国や日本からの観光客が増える可能性もあります。

欧州各国も企業の業績悪化による失業率の上昇など多くの不安材料を抱えており、2025年のフランス観光業界の状況も好調が続くのか、注視していく必要があります。

執筆:マダム・カトウ

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