2023年5月9日(火)、ル・ロベール(Le Robert)社は、2024年の紙版辞書「ル・プティ・ロベール(Le Petit Robert)」に追加する150の新語を発表しました。
ル・プティ・ロベールの新語
ル・ロベール(Le Robert)社は、1951年からフランス語関連の書籍を出版する会社です。とくに「ル・プティ・ロベール(Le Petit Robert)」は、紙版・オンライン版ともにフランス国内外で親しまれるフランス語辞書で、定期的に新しい単語を追加しています。
“Les mots nouveaux sont toujours un miroir de la société.”
Afin d’évoquer l’édition 2024 du Petit Robert, Géraldine Moinard, lexicographe, directrice de la rédaction des Editions le Robert était invitée dans #le57inter. ➡️ https://t.co/I4tsxAajIC pic.twitter.com/kTP2T3Zfag
— France Inter (@franceinter) May 9, 2023
2024年はどんな新語が誕生?
新たに追加される予定の単語は、3つのカテゴリーに分けられます。順に見ていきましょう。
デジタル関係
発展の著しいデジタルの世界では、多くの新語が生まれています。
– AI générative 「ジェネレーティブAI(生成系AI)」:文章やテキストなどを作ることのできる人工知能のこと。
–métavers 「メタバース」:インターネット上につくられる仮想空間。「メタ(高次の)」に宇宙を意味する英語「ユニバース」を組み合わせた単語。
–minage「マイニング(採掘)」:ブロックチェーンの生成を承認すること。仮想通貨の取引の世界では、鉱物の採掘にたとえた用語が多いため。
–moissonnage「データの刈入れ」:)大量にデータを集めること。
時事ニュース関連
メディアで多用された単語は、しばしば辞書に登録されます。
–nasser:デモ参加者などを、非常線で取り囲むこと。フランスで年明けから激しくなっている年金改革へのデモ運動などの報道で使用されています。
–dette climatique:気候変動への対策として借り入れるために生じる赤字。
–mégabassines「巨大貯水槽」:灌漑対策のための大きな池。フランス西部のヴァンデ(Vendée)などに設置されていますが、蒸発やバクテリアの繁殖などの懸念から、是非が議論されています。
–complosphère:インターネット上で陰謀論的とされる考えを広めようとする人々のこと。
若者言葉
英語由来の単語が多く見られます。
–crush:浮気すること、浮気する人のこと。英語で「惚れ込む」を意味するcrush upから。
–être en PLS:気分がよくないこと。精神病の病名に由来する。
–ghoster:突然、説明なしに関係を絶つこと。とくに恋人同士において。英語で「幽霊」を意味するghostから。
その他:食べ物、趣味など
流行の食べ物やアクティビティからも多くの単語が生まれています。
–babka「バブカ」:ブリオッシュにチョコレートなどが入ったパン。東欧由来で、フランスはじめ各地で大流行中です!
–webtoon「ウェブトゥーン」:韓国発のウェブ漫画。
–wingfoil「ウイングフォイル」:風力で水上をサップなどで進んでいくスポーツ
時代を反映する新語たち
2024年も、さまざまな由来の新語が誕生しました。紹介した単語は、プチ・ロベールの電子版のサイト(こちら)で意味を検索できます。どんなふうにフランス語で説明されているのか、ぜひ読んでみてください!
執筆あお
参照
Radiofrance COP27 : la dette écologique des pays riches