11月3日(火)、昨日11月2日は一日の新型コロナ感染者が52,518人と過去最高記録を更新し、死者数も416人と前日の2倍近くになる中、フランスの薬局では抗原検査を無料で受けることが可能になりました。
医者の処方箋不要、結果は15分で
感染者増に伴い、PCR検査場の混雑を緩和するため、フランス政府は感染者のテストを薬局でも可能にしました。
抗原検査はPCR検査と同じく鼻腔に綿棒を入れ、鼻咽頭から検体を採取する方法ですが、時間がかかるPCRとは異なり結果が15分で表示される簡易検査です。
調剤薬局組合(Union des syndicats de pharmaciens d’officine :USPO)が行った調査によると、全国の調剤薬局の80%が抗原検査キットを注文し、40%が今週末までに検査可能な状態になると答え、10%がすでに検査を実行しています。
検査は無料で、処方箋なしで受けることができます。
薬局では検査の研修を受けた薬剤師が、医療用ガウン、医療用手袋、フェイスガード、マスクを着用して行います。終了後、非検者は指定の用紙に連絡先などを記入します。
開業医は院内検査に消極的
抗原検査はかかりつけの開業医に依頼することもできます。しかしながら開業医は検査に対し薬局ほど積極的ではありません。
フランス開業医組合(Union française pour une médecine libre:UFML)委員長のジェローム・マルティ(Jérôme Marty)氏によると、開業医が抗原テストを行うには様々な障害があります。
まず、小規模な医院内には感染の疑いがある患者と他の患者を分けて案内する部屋がないこと、また、抗原検査を行うためには医療用ガウンなどの装備を着用する必要があるため、医師は抗原検査終了後に装備を脱いでまた別の患者の検診を行うといった、手間と時間のロスが発生します。
さらに、抗原検査は偽陰性、偽陽性が出やすいため、陰性でもその後症状が出た場合は結果としてPCR検査を再度行う必要があることも、開業医が抗原検査の受け入れに消極的になる理由の一つです。
PCR検査の代替、渡航前の検査など
薬局での抗原検査も基本は予約制ですが、PCR検査場に長蛇の列が出来ていることから、症状のない人が検査場から薬局での検査に送られてくるケースもあります。
また、フランスでは12月1日まで予定されている再ロックダウン期間中は、新たにシェンゲン条約加盟国以外からフランスに空路で入国する渡航者に対し、渡航前72時間以内の新型コロナ陰性の証明書を持参することが義務付けられています。
そのため、陰性証明書を持たずにフランスの空港に到着した渡航者については、空港内で抗原検査を行っています。
ちなみに利用者が激減したフランス各地の空港では、狭い航空機内での感染を危惧し、飛行機の利用を避ける風潮に歯止めをかけるため、搭乗前の検査を無料で行うことで安全性のアピールを試みています。
執筆:マダム・カトウ