8月1日(木)、GAFA税とも呼ばれる「デジタル税」がこの秋からフランスで施行されることをうけ、アマゾン・フランス(Amazon France)は、課税分を出品者であるフランスの商店や企業に転嫁すると発表しました。
売上の3%にデジタル税、この10月より施行
7月11日にフランス議会で「デジタル税」が可決され、今年の10月より施行されます。
この新税は、アマゾンのようなIT系の大企業がフランスで発生した売上をアイルランドなどの優遇税政策を行っている国で計上することで、本来フランスに入るべき税金を払っていないケースが多いことから生まれました。フランス政府が遺失した税金を取り戻すのが目的で、利益からではなく売上の3%が徴収されます。
GAFA他30社が対象、トランプ大統領フランス産ワイン税で報復か
アマゾン・フランスは自社のホームページで、10月より施行されるデジタル税を、出品者である商店や企業から徴収するコミッションに上乗せすると発表しました。これにより、マーケットプレイスの出店者がアマゾンに支払うコミッションが、販売する商品によって0.1~1.5ポイント増えることになります。
フランス経済・財務省(Ministère de l’Economie)によると、デジタル税の対象になるのは年商7億5000万ユーロ(約889億円)以上、うちフランスでの売上が2500万ユーロ(約59億円)以上のグローバル企業の約30社です。
デジタル税は、プラットフォームビジネス、デジタル広告事業、個人情報などデータの販売を行う企業が対象となっており、GAFAと呼ばれる、Google、 Apple、 Facebook、 Amazonなど、アメリカのグローバル企業が主なターゲットにされていることから、GAFA税とも呼ばれています。
アメリカ企業を狙い撃ちにしたフランスのデジタル税導入に怒ったトランプ大統領は、フランス産ワインへの課税額引き上げで応酬する構えを見せています。
《フランスの出店企業の競争力が無くなるだろう》―アマゾン・フランス
アマゾン・フランスはフランス通信社AFP(L’Agence France-Presse)に送った書簡の中で、「マーケットプレイスビジネス(プラットフォームを提供し、商品を出品する企業や商店と消費者を結びつける商売)をターゲットにした新しい税金を、自社の利益から捻出するのは困難である」と説明しています。
同社はまた、「我々の事業は大変競争が激しく薄利なため、デジタル税は出店する企業に転嫁する以外に方法はない」と弁明し、さらに「弊社は顧客サービスや出店企業用のツールなどに大掛かりな投資をしており、売上に対してかけられる今回の税をかぶることはできない」と、転嫁の正当化を試みています。
アマゾンは今回の課税により、「フランスの中小企業は、同類の商品を販売する他の国の企業との競争力を失うだろう」とし、こういったデメリットについて、デジタル税導入前にフランス政府に「警告した」と断言しています。
アマゾンの決定、他企業への影響は
楽天フランス(Rakuten France)社長、ファビアン・ヴェルサヴォー(Fabien Versavau)氏は、2019年に関しては追加課税分を出店企業に転嫁することはせず、2020年に関しては「課税による業績への影響次第」で検討すると、慎重な姿勢を見せています。
別名GAFA税と呼ばれるこの税金は、フランスでの販売による売上をアイルランドで計上しているアマゾンのほか、アップル、グーグルなど約30の企業が対象となります。
フェイスブックは今回の課税への対処を決めかねており、グーグル、アップルに関してはコメントを控えています。
1ユーロ=約118円
執筆:マダム・カトウ