6月6日(木)、マクロン大統領はトランプ米大統領、メイ英首相、イギリス王室など多くの国賓を招き、ノルマンディー上陸作戦75周年記念式典を行いました。
1944年6月6日、6939隻の舟艇で13万人の兵士が上陸
今年で75周年を迎えたノルマンディー上陸作戦ですが、同じ日の6月6日、上陸作戦が行われたオマハ・ビーチがあることで知られるコルヴィーユ=シュール=メール(Colleville-sur-Mer )のアメリカ兵墓地で記念式典が開催されました。式典には作戦や第二次世界大戦に参加した退役軍人150名以上を含む約12000人の招待客が参加しました。
これら退役軍人のうち45名はノルマンディー上陸作戦の生存者で、その多くはすでに100歳前後となっています。
米仏大統領、環境問題、イラン情勢など政治的不一致の中「結束」を誓う
今回の式典は、昨今の国際情勢で米仏関係が緊張を深めている中での開催となりました。
トランプ大統領は昨年、イランが2015年にフランスを含む6カ国と結んだ核合意から離脱を表明し、1年にわたりイランに経済制裁を加えたことによりイランとの緊張が高まるなど、安全保障問題でEUとの対立が深まっています。環境問題ではパリ協定から離脱、さらに昨今の米中貿易戦争によりEUおよび世界経済への悪影響が懸念されています。
マクロン大統領は演説で「自由な人々の結束を揺るがしてならない」と、国連や北大西洋条約機構(NATO)の重要性を強調し、自国第一主義のトランプ大統領に釘を刺す一面も覗かせました。
演説の最後には「退役軍人の皆さん、私たちはあなた方のおかげで自由を手に入れました。フランス国民を代表し、ただただありがとうと言いたい」と英語で感謝の意を表しました。また、参加した退役兵のうち5名に、フランスに大きく寄与した人に贈られるレジオンドヌール勲章(L’ordre national de la légion d’honneur)を授与しました。
トランプ大統領は「アメリカの誇り」と退役軍人たちを賞賛し「アメリカとその同盟国との友好関係は破壊不可能」と、9,387名の兵士が眠るアメリカ兵墓地で結束を表明しました。
フランスの各メディアでも「式典の数時間は両国大統領の意見の不一致は忘れられたかのようだ」、と報道されています。
英メイ首相、最後の外訪
米仏式典の前には、翌日7日に退任するメイ首相を招待して行われた仏英の記念式典がヴェール=シュール=メール(Ver-sur-Mer)で行われました。
マクロン大統領は、「自由をもたらしてくれた人々への記憶が忘れ去られることがないよう」この地に英国兵士の記念館を設立することを発表し、仏英の友好関係を再確認しました。大統領は演説の中で「個人的に私の友情を伝えたい」、「信頼して共に仕事ができた」と辞任するメイ首相への配慮を示しました。
メイ首相は自らの辞任には一切触れず、設立が決まった英国兵士の記念館への感謝の意を表すると共に、「ノルマンディー上陸作戦に参加した15万人のうち、83,000人の英国およびコモンウエルスの兵士たちの勇気をたたえ、自由のための戦いが行われた歴史的な場所にいることに感無量です」と、最後の演説で述べました。
執筆:マダム・カトウ