27日(水)、調査会社が行った世論調査で、フランス人の2人に1人は、新たなテロ攻撃があった際、一時的に一般人を軍人として徴兵することに賛成している、という結果が発表されました。
フランスはテロリストとの戦争状態
調査会社オドクサ(Odoxa)が出版社JC Lattès(Éditions Jean-Claude Lattès)社の求めに応じて、2019年2月13日と14日の2日間、18歳以上の1,002人を対象にネット上で行った世論調査によると、10人の内6人が現在フランスがテロリストとの戦争状態にある、と答えたということです。
また、全ての回答者の内55パーセントの人が、より確実な安全保障のために自由が制限されることに、準備ができていると答えました。更に、2人に1人が、新たなテロ攻撃があった時に、一時的に一般人が軍人として徴兵されることに賛成であると答えました。
今回のこの調査は、軍が国を支配することを想定した政治小説の著者で、ジャーナリストのアンリ・ヴェルネ(Henri Vernet)氏の依頼により行われました。
ヨーロッパ諸国の右傾化
現在、欧米諸国では、権威主義的な右傾化が広まっています。
昨年10月におこなわれたフランス世論研究所(Institut français d’opinion publique/Ifop)が行った調査によると、フランス人の41パーセントは、衰退に直面している国を改革するために「権威主義的な政治権力」を好む、と回答しています。
20年前にも権威主義が好まれていた
民主主義が深く根付いている20年前のフランスでも、人口のおよそ35パーセントが、議会や選挙などによって左右されない「権威主義」的な指導者が良い、と考えていました。
イスラム国のテロが影響か
2017年に行われた調査では、その数は、およそ2人に1人、国民の半数にまで増加しています。
現在の若者たちは、第二次世界大戦を経験した人達よりも、自由民主主義に対して執着しておらず、より権威主義的体制に対して寛容である、と報じられています。一方で、イスラム国(ISIL)のテロが、安全保障の為に自由を犠牲にすることへの賛同を集めているのではないかと考えられています。
支持政党によって意見が二分
今回の調査では、右派政党の支持者の多くが、テロの際に一時的に市民を軍に徴兵する、安全保障の為に自由が制限される、というこれらの意見に賛同しました。
共和党(Les Républicains)支持者の58パーセントが、国民連合(Rassemblement National/RN、旧国民戦線)支持者の実に71パーセントが賛同という結果になりました。一方、左派政党の支持者からは、「安全保障の為に自由が制限される」ことに強い反対意見を示しています。
世界的に右傾化していると言われていますが、フランスも例外ではなさそうです。
執筆:Daisuke