11日(月)、フランス世論研究所(I.F.O.P Institut français d’opinion publique)は、同研究所が医療用大麻の研究機関であるTerra Nova と Echo Citoyenの為におこなった最新の世論調査で、フランス人の実に8割の人が医療用大麻を支持している、もしくは好意的に捉えている結果となった、と発表しました。
フランスでも大麻は違法
フランスでは他の多くの国と同様に、大麻は違法薬物として罰則の対象となっています。日本では大麻を栽培、所持、譲渡をすることが違法で(5年以下の懲役、営利目的の場合は7年以下)、使用には特に罰則規定はありません、一方、フランスは使用することが法律で禁止されています。大麻使用に対する罰則は、ヨーロッパの中でも重く、最大で3,750ユーロ(日本でおよそ495,000円 1ユーロ:132円計算)の罰金と1年の禁固刑が言い渡されます。
しかし、多くの場合は注意を受けるだけで、実際に処罰されることはほとんどありません。
違反者に対する罰則が大幅に軽減
今年1月には、大麻使用者に対する罰則が大幅に軽減され、使用が発覚した場合は、その場で150ユーロ(およそ19,800円)~200ユーロ(およそ26,400円)を徴収し、禁固刑を廃止とする改正案が提出されたばかりです。
ジェラール・コロン(Gerard Collomb)内務大臣はその際、「大麻を合法化する予定はない」とし、「再犯者や大麻取引をおこなっている容疑者にたいしては、刑事訴追の可能性もある」と述べました。
医療用大麻合法化を求める声が増加
今回の調査では、フランス人のおよそ半数にあたる51パーセントの人が、「運転中、公共の場、未成年者の使用」などいくつかの場合を除き、大麻の生産・流通・消費に関する規則を設定して、公的機関による規制・監督のもとで大麻を流通・使用するのは賛成する、と答えています。それでも、40%の人は反対しています。
また、医療用大麻の合法化は支持する、という意見は全体の82パーセントと非常に多く、合法化を求める声が増加していることが明らかになりました。
大麻はタバコよりも危険性が低いと主張
Terra Nova と Echo Citoyenの両研究機関は、大麻の危険性は明確に下方修正されている、と主張しています。
世論調査で、大麻・アルコール・タバコの危険性をそれぞれ10段階で答えてもらい、その平均を出したところ、大麻は7.8ポイント、アルコールが7.7ポイント、そしてタバコが8.2ポイントとなりました。大麻はアルコールよりもやや危険ではあるが、タバコよりは大幅に危険性が低い、と考えている人が多いことがわかりました。
アンケートでは、およそ64パーセントの回答者が現在の大麻規制に関する法律は変えるべきだと答え、70パーセントの人がこの大麻規制に関する法律の議論を支持していると回答しました。
大臣もフランスは「遅れている」ことを認める
5月24日には、アニェス・ビュザン(Agnès Buzyn)保健相も、フランスの医療用大麻の使用に関して、遅れていることを認め、既に薬物開発担当機関との議論を開始したと述べました。
一方、政府は民事訴訟改革法案の中で、大麻使用の罰則を300ユーロの定額罰金にすることを目標にしています。
日本でも度々話題になる医療用大麻ですが、フランスでも今後議論が白熱していきそうです。
執筆:Daisuke