大人の女性向けの映画としておすすめの作品「8人の女たち」。密室殺人の犯人捜しが楽しめるミステリーです。同時に、各女性が持つ秘密が徐々に明かされるシーンも見逃せません。今回は、この映画の魅力とフランス語学習に役立つ楽しみ方を紹介します。
映画「8人の女たち」の概要と見どころ
仏題「8femmes」はロベール・トマ( Robert Thomas )作の戯曲で、舞台で演じられていた作品をフランソワ・オゾン( François Ozon )監督が映画化し、2002年にフランスで公開されました。
フランスを代表する8人の女優たちの豪華なキャスティングと、密室殺人の犯人を追うミステリーにミュージカル要素が入ったことでとても話題を呼びました。
映画には8人の女性のみが登場し、男性は登場しません。女性たちは殺された館の主人の家族であったり、ゆかりのある者ばかり。
例えば、美と富を備えた館の主人の妻、コンプレックスの塊のオールドミスの妻の妹、恋愛も生き方も自由奔放な館の主人の妹など。そして彼女たちを中心に、子供たちや屋敷に使える女中も加わり…ストーリーがどんどん展開していきます。
女たちの秘密、家族問題
8人の女性の中で、自分が共感できるのは誰かしら?と考えて観るのも面白いです。徐々に明かされる女性たちの秘密にも目が離せません。フランスの家族が抱える問題をテーマにしたストーリーなので、そのあたりも見どころでしょう。
演じているのは、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブ( Catherine Deneuve )やファニー・アルダン( Fanny Ardant )など。名優たちの演技にも注目です。
「8人の女たち」でフランス語学習を楽しもう!
「8人の女たち」をフランス語学習の教材として観るのもおすすめです。フランス語初心者~上級者までのレベル別で学習のポイントを紹介していきます。
【フランス語初心者】
ビジュアルを楽しむことから始めましょう。8人の女優たちの立ち振る舞いや貫禄は、フランス女性の溢れる魅力を表現しています。気になる女優さんをチェックするのも面白いですね。
人物に合わせて衣装が色分けされているので、女たちそれぞれの性格をイメージできるでしょう。洗練された靴や腕時計など、小物を見ているだけでも楽しいです。
フランス語学習で観るときは、各人物が家族を呼ぶときにどんな言葉を使うのか注目してください。
“oh, ma chérie” は、普段フランス人が自分の子供を呼ぶときによく使う言葉です。
【フランス語中級者】
フランス語に慣れ始めた方には、登場人物が劇中で歌う曲のメロディーや歌詞のさびの言葉を聞き取ることも勉強になるでしょう。
フランス映画には有名な曲が多く使われています。人物の心の内を歌で表しているので、ストーリーを読み解く大切なキーポイントです。
例えば1曲目のさびの歌詞、 ” T ‘es plus dans le coup “ は、「あなたは、話または事情がわかってない」という意味になります。要するに蚊帳の外という表現で、よく使われる言い回しです。
【フランス語上級者】
フランス語上級者の方は、劇中歌の詞に注目してみましょう。多くが愛や生き方をテーマにしています。先ほどお伝えしたように、歌詞には登場人物の気持ちが表現されているため共感性が高まり、興味深く学習できるでしょう。
セリフのほうはかなり辛口でストレートな表現が多いため、実際に使うのは難しいかもしれません。しかし、フランス女性の言い合いのリズムや言葉の返し方は参考になりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
映画「8人の女たち」は、ストーリーを楽しむだけではもったいないくらいの魅力溢れる作品です。私も何度も鑑賞しましたが、観るごとに発見があります。成熟した女性を描くオゾン監督の才能に感心するばかりです。歌の最中のダンスもオリジナリティにあふれ、コミカルな部分も楽しめます。機会があればぜひ観てみてくださいね。
執筆 YUKO