今回は雨にまつわるフランス語のお話をご紹介します。ちなみにフランス語で梅雨は la saison des pluies と表現しますが、フランスといえば概して、雨の少ない乾燥したイメージがありますよね。
でも地域によっては雨の多い所もあります。特に北西部のブルターニュやノルマンディあたりでしょうか。そして、この雨が多い地方を舞台にした、とても美しい映画作品があるのをご存知ですか?
見るのはもちろんですが聴くだけでも楽しめる素晴らしいフランス映画なので、ぜひフランス語学習の参考になさってくださいね。それでは早速ご紹介しましょう。
おすすめ!聴いて楽しめるフランス映画
今回ご紹介するのは、「シェルブールの雨傘(Les parapluies de Cherbourg)」というジャック・ドゥミ監督によるミュージカル映画(1964年)で、なんとカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。そして音楽はフランス音楽家のミシェル・ルグランが手掛けています。
映画の背景となるのはフランス北西部の港町シェルブールです。そこにしとしとと降り注ぐ雨。そして街を歩く人々の色とりどりの雨傘。フランス人の色彩感覚の素晴らしさを目の当たりにする素晴らしい作品です。
フランス語の歌詞が美しい…
しかし、この映画は視覚だけでなく聴覚においても堪能できるところがポイントなのです。それは、この作品のフランス語が非常に平易かつ美しいということです。では、例として歌詞の一部をご紹介しましょう。
Dubourg: ” Vous permettez ? ”
Cassard : ” Je vous en prie… ”
Dubourg: ” Mademoiselle est devenue une bien jolie jeune fille.
Il y a si longtemps que je n’avais eu le plaisir…Mais que puis-je faire pour vous ?
Vous pouvez parler sans crainte. ”
上記の歌詞は、ヒロイン ジュヌヴィエーヴが母親と一緒に宝石商デュブールを訪れる場面です。デュブールがそれまで話していたカサール氏に中座の断りを入れ、母親に挨拶をします。
この短い歌詞の中にも、初級で学ぶ文法事項や表現がぎっしり詰まっていますね。全編音楽のみの完全なミュージカルでセリフが全くありません。
音楽も全体的にゆったりとして歌詞も聞き取りやすいです。「このレベルでもわからないよ!」という方も、Bonjour. や Au revoir. や Je t’aime. だけでも「あ、わかる!」という実感が得られるでしょう。
最後に
「シェルブールの雨傘」は90分ほどの短い映画なのでちょっと空いた時間でも見ることができます。雨でお出かけを断念した日は、ひととき目と耳を傾けてみるのはいかがでしょうかか?
執筆 Akiyo