フランスの街中を散歩していると、素敵なブーケを売る花屋さんがあったり、マルシェでは色とりどりの花を目にしたりすることがあります。フランス人は生活に潤いを与えてくれる花や植物とどのように付き合い、そして、どのようなときに花を買ったり贈ったりするのでしょうか?知っていると役立つ花にまつわるルールや、フランスでのお花の楽しみ方をレポートします。
マルシェで大人気!フランス流お花の買い方
フランス旅行に行ったときに、マルシェをぶらぶらと散策するのを楽しみにしている方も多いと思います。マルシェはフランス人の生活スタイルが垣間見れる絶好のチャンスです!
実際に足を運んでみるとわかるのですが、たくさんの食べ物屋さんと一緒にマルシェにはお花屋さんが出店されています。作られたブーケもありますが、季節のお花をバケツにいっぱい入れて販売していることが多いです。
フランス人はマルシェで野菜や果物を買うのと同じ感覚で、買い物かごにお花を入れて歩いています。わざわざ花屋さんに出向かず、マルシェで他の買い物と一緒に気軽に季節の花を買うのが、フランス風スタイルなのかもしれません。
特に週末に開催されるマルシェでは、新鮮な食材や手作りお惣菜を自分へのご褒美に買う人も多く、その際、見た目と香りでリラックスさせてくれるお花も欠かさず購入するのだそうです。家でお気に入りの花瓶に生けなおし、部屋に彩りを添えて心地よい時間を過ごすのでしょう。
フランスでお花を贈るのはどんなとき?
フランスではどのようなシーンでお花を贈るのでしょうか。主な3つのパターンを紹介します。
人の家に招かれたとき
お呼ばれされたとき、ワインと花束を持参される人がいます。手土産を必ず持って行かないといけないわけではありませんが、特別なシーンでご招待を受けたときはワインと花束の組み合わせがおすすめです。
例えば、パートナーの家族に初めて会うときなど、お呼ばれして何を手土産として持参すればいいのか迷った場合は、一般的に誰にでも喜ばれるお花がいいと思います。
バレンタインデー
フランスのカップルは、バレンタインデーに男性が女性にバラや花束を贈ることが多いです。大きなブーケのときもあれば、シンプルにバラ1輪を美しくラッピングするときもあります。
愛の象徴と言われている赤いバラを贈る方が多いですが、カラフルなバラを入れたり、さまざまな色のバラをブーケにして贈ることもあります。本数は奇数が良いので、購入する際に気をつけましょう。
5月1日のスズラン
フランスでは、5月1日にスズランの花束を家族やお友達にプレゼントする習慣があります。ルネッサンス期から始まったとされるこの習慣は、春の訪れを感じさせ幸運をもたらすと言われ、皆が大好きなイベントです。
5月1日はメーデーの日 (労働の祝日 la fête du travail ) ) で祝日ですが、この日に限って個人が公共道路でスズランのブーケを販売することが許可されています。近年は減りましたが、スズラン売りを楽しむ子どもの姿が見られるのもこの日ならではといえるでしょう。
その他さまざまな場面でも、お花の鉢植えを頂いたりプレゼントしたりすることもあります。フランスでは本当にお花が生活に密着しているなぁとたびたび感じます。
お悔みのシーンでもお花は大活躍
フランスでは、親しい人の家族の訃報を受けたとき、お悔やみのメッセージとともにお花を贈るケースが多いです。以前、職場で同僚のお母さまが亡くなられたときは、皆で共同でお悔み用のお花を同僚の自宅に送りました。
鉢植えや花束などバリエーションはありますが、落ち着いた色味のものを選びます。フランスでは葬儀に参列するのは家族や親しかった人に限られることが多いため、お花を贈ることでご冥福を祈るのです。
また11月1日は諸聖人の祝日 ( Toussaint ) には、菊の鉢植えを持ってお墓参りに行く人をよく見かけ、日本との共通点を感じます。
まとめ
フランス人のお花との付き合い方を見ていると、「気軽に自然に」という印象を受けます。自分の気持ちを表現するツールの1つなのだなと感じることも。年度末にお世話になった担任の先生に小さなブーケや鉢植えをプレゼントする子供もいるので、小さいころからお花に親しんでいるのでしょう。美しいお花を見ていると気持ちが明るくなることが多いです。私たちもフランス人と同じように、自然体でお花と付き合えるようになれたら素敵ですね。
執筆 YUKO