映画「アメリ」にも登場する鶏の丸焼き ”プレ・ロティ”

2024.12.23

プレ ロティ公開から早20年以上が経ったけれど、いまだに色褪せない名作映画「アメリ」。この映画を観たのがきっかけで、フランスに行きたくなった、という方も多いのではないでしょうか。

今回はこの映画の中にも登場した、鶏の丸焼き poulet rôti(プレ・ロティ)についてご紹介します。

 

フランスでは日常的に食べられている「プレ・ロティ」

プレ ロティ 盛り付け

この映画の中で、主人公のアメリがかつて同じアパルトマンに住んでいたドミニク・ブルトドーというおじさんに「彼の子どもの頃の忘れ物をこっそり届ける」というエピソードが登場します。そしてこのドミニクさんは、毎週鶏の丸焼きを食べるのが楽しみ。熱々の鶏の丸焼きを手で割いておいしそうに頬張るドミニクさんを、思わず羨ましく眺めたのはきっと私だけではないはずです。

この鶏の丸焼きは、フランス語で鶏肉という意味の「poulet(プレ)」ローストという意味の「rôti(ロティ)」を合わせ、プレ・ロティと呼ばれて親しまれています。日本ではクリスマスぐらいにしかお目にかかれませんが、実はドミニクさんのようにフランスでは日常的に食べられているお料理なんです。

 

マルシェにいる ”プレ・ロティ屋さん”

プレ ロティ屋さん

私の住んでいる地域では、週末に開催されているマルシェに行くと必ずプレ・ロティ屋さんがいます。キッチンカーで市場に乗り付けているため、その場で焼いたものを購入することができるんです。キッチンカーの周りにはいつも香ばしい香りが漂い、まるでお祭りに来たような気分を味わえる楽しい光景が広がっています。

お店によってはプレ・ロティだけではなく、付け合わせにローストされたジャガイモも一緒に買うことができます。また大きめのスーパーでは、店で焼いたものを提供しているところも。値段は店によって異なりますが、大体12ユーロ前後で販売している場合が多いようです。

その他、お肉屋さんで生のものを購入できるため、家庭で焼き立てを楽しむ人もいます。なんでもフランスのオーブンレンジには、マルシェのグリルのように棒に鶏の丸焼きを刺し、全体をまんべんなく焼けるものがあるのだそうです。こうしたオーブンが販売されている事実からも、いかにフランス人にとって鶏の丸焼きが日常的なものかがわかるように思います。

 

週末に買って家族や友人と楽しむのがフランス流

プレ ロティ 切り分け一羽は大体1.5キログラムほどで、4~6人用として販売されています。お店によっては骨つきのモモ肉のみで販売していたり、半分に切り分けて売ったりしてくれるので、半分だけ欲しい場合は「Un demi poulet, s’il vous plaît.(アン デゥミ プレ、シル ヴ プレ)」とお願いしてみましょう。

こうやって週末にマルシェなどでプレ・ロティを買い、家族や友人と分け合って楽しむのがフランス流です。

手作りの場合も好みの野菜をオーブン皿に敷き詰め、鶏にオリーブオイルを塗り、塩やスパイスで味付けし、オーブンに入れるだけなのでとっても簡単。会話を楽しみながら食事をしたいときに、ぴったりのメニューです。

 

希少部位「ソリレス」って何?

さて、冒頭でも話題にあげた映画「アメリ」には、ドミニクさんが愛らしい孫たちに鶏肉を食べさせてあげるシーンも登場します。ドミニクさんが大切そうに持っていた鶏肉の部分、あれは「ソリレス」と呼ばれ、一羽につき2つしか取れないたいへん希少なものです。ももの付け根のあたりにあり、腰骨のくぼみに隠れています。筋肉が発達している部分のため適度に弾力があり、肉汁が詰まっていてジューシーな味わいが特徴的。一羽丸ごと食べるプレ・ロティだからこそ味わえる部位です。

ちなみにソリレスは、フランス語で書くと「Sot-l’y-laisse」。「sot」は愚か、「laisse」は「laisser / 残す」という動詞のため、直訳すると「愚か者はそれをそこに残す」という意味です。意味深な名前につい首をかしげてしまいますが「これを残すなんておバカさんだね」、つまりより親しみやすい表現にすると「食べないともったいないよ」という意味合いです。ちなみに英語では、チキンオイスター(chicken oyster)と呼ばれているそう。日本ではどうやら「ソリレス」というフランス名が採用されているようなので、焼き鳥屋さんなどに行ったら、探してみると面白いかもしれません。

 

品質にこだわるならラベルをチェック

プレ ロティ ラベルルージュ

旅行や留学でフランスへ行き、アパルトマンで鶏の丸焼きを作ってみたいと思ったら、以下のラベルをチェックすると、品質が保証された鶏を購入することができます。

Le Label Rouge
フランス政府が作った、品質保証のマークです。名前にrouge(赤)と入っているとおり、赤いラベルに大きく「R」とデザインされています。肉類の他にもチーズや卵、果物などさまざまな食品で採用されており、味だけではなく飼育方法に厳重な審査が課されています。例えば鶏肉であれば、成長を促す抗生物質を使用しておらず、成長のスピードが適正であることや、鶏がしっかり運動できる平飼いの状態で飼育されているかどうかなどが審査基準として設けられています。そのためこのマークが貼られているものは、高品質と認められたもののみです。

AB
緑色のABと書かれたマークがついたものは、フランス農業・食料省に認可されたBIO(ビオ)製品のこと。こちらもLe Label Rougeと同じように、飼育環境や鶏のエサなどに審査が課されています。

 

まとめ

プレ ロティ サラダ

フランスの食卓ではお馴染みの、プレ・ロティをご紹介しました。マルシェやスーパー、お肉屋さんで簡単に手に入るため、ぜひフランスに来られた際は試してみてください。一人の場合は半分購入し、一度に食べ切れない分は次の日にサラダにしたりサンドイッチにしたりするのもおすすめです。また、購入するお店によって味付けも異なりますので、ぜひお気に入りの味を見つけてみてください。

執筆 Megumi Saito

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