覚えておくと便利!フランス語の略語や通称を知る

2023.05.16

フランス語 イメージフランス語にはよく略語(abréviation)や通称・別名(あだ名、surnom)が出てきます。中にはスラングの域を出ないものもありますが、生きたフランス語の最たる例でもあり、使ってみるとネイティブが話す日常会話に一歩近づいたような気もします。そこでこの記事では、日常会話でよく聞くフランス語の略語や通称に関してご紹介します。

 

パリに関連する略語・通称

パリに到着してまず最初に耳にする略語が、シャルルドゴール空港の略語である「CDG」でしょう。そのCDGからパリ市内に向かう際に乗るRéseau Express Régional(郊外鉄道)は一般に「RER」と略されます。

さらにパリ市内を移動する際に使うMétro(地下鉄)も元をたどると「大都市の、都市圏の」といった意味を持つ「métropolitain」の略語です。このようにパリに着いて宿泊先に到着するまでに、すでに略語の波に飲まれることになります。

パリジャンはパリ市内の地名も略します。レパブリック広場を「Répu」、モンパルナスを「Montpar」、イタリア広場を「Place d’It」などは単に短縮形なので想像がつく範囲。リュクサンブール庭園を「Le Luco」、ブローニュの森を「Boubou」などと言われるとだんだん分からなくなってきます。

さらに進んで、道路が星形に(放射線状に)伸びている凱旋門広場のことを「Étoile」と呼んだり、現代美術館のポンピドゥセンターのことを美術館がある地区の名前を取って「Beaubourg」 と言われたりすると、知識として知っていないと分かりません。

逆に略語のほうが浸透してしまい、正式名称があまり知られていないものもあります。先述の「Métro」がその最たる例ですが、他にも有名な百貨店のBHVが「Bazar d’Hôtel de Ville」の略であるとか、国立図書館のBNFが「Bibliothèque Nationale – François-Mitterrand」であることを知らない人は意外に多いです。

(写真)近代的な「BNF」の建物

 

日常生活でよく聞く略語

フランス旅行の際、一度くらいはパン屋を訪れる方が多いのではないでしょうか。ほとんどのパン屋には baguette tradition というバゲットが売られています。フランス人はそれを「tradi」と略します。地元の人はさらっと「Une tradi, s’il vous plaît. 」などと言いますが、知らなければバゲットを注文しているとは思えない会話です。

フランスで昔から愛読されてきたコミック、bande dessinée は「BD」と訳されることはよく知られているでしょう。また最近は24年のパリ・オリンピックに向けた話題が増えはじめ、フランス語でオリンピックを指す Jeux Olympiques を略した「JO」という単語をよく耳にするようになりました。

世界的なチェーン店も略して呼ばれます。一般に日本ではケンタッキー・フライドチキンを「ケンタ」、マクドナルドを「マック」と略しますが、フランスではそれぞれ「KFC(カーエフセー)」「Mcdo(マクド)」です。

日本でスタバといわれるスターバックスは特に略称がなく、そのまま呼ばれています。

 

メールでよく見る略語

フランス語でのメールでも良く略語が出てきます。友達同士のカジュアルなメールでよく使われるのが「mdr」です。これは「mort de rire」(笑い死にする)の略で、日本語の「笑」にあたります。使われ方も日本と同じで、文章の最後にそのままmdrとつけます。

またボンジュールを「Bj」、メールの最後に書く「Cordialement」も「cdt」と略されたりします。

仕事のメールでは知らないとどうしようもない略語も見かけます。例えば「情報共有まで」の意味を持つ「À titre d’information」を略した「ATI」、「報告したとおり」といった意味の「À titre de compte rendu」の略である「ATCR」などです。

最近は「なるべく早く」を意味する英語の「as soon as possible」を略したASAPを見る機会が増えました。教えてもらわない限り日本人には想像もつきません。

 政府機関の通称

日本では中央省庁のことを「霞ヶ関」と言ったりしますが、フランスでもよく似たことが起こっています。フランスの中央省庁はパリの街中に散らばっているため、その省庁が存在する地名で言いあらわします。

ベルシー地区にある財務省のことは「Bercy」、セーヌ川沿いにある外務省は「Quai d’Orsay」、内務省は「Place Beauvau」、法務省を「Place Vendôme」など。大統領府と首相府はそれぞれエリゼ宮(Palais de l’Élysée) とマティニョン館(Hôtel Matignon)にあるため、建物の名前をとって「Élysée」「Matignon」と呼ばれます。

これらは日常会話だけでなく新聞やネットニュースなどにも多用されます。たとえば「Le Quai d‘Orsay の発表によると〜」とか、「新しい首相が Matignon に着任した」などのように使われます。

(写真)セーヌ川に突き出て建つ「Bercy」

 

なぜフランス語では略語や通称が発展したのか

フランス語を習っている方はご存知かもしれませんが、フランス語は同じ単語の繰り返し(répétition)を極度に嫌います。そのため一つの文章や段落の中で同じ単語を使う場合は、なんとかして他の言い方を考えないといけません。

新聞などを読んでいると、よくもそこまで考えつくなと思うくらい見事に別の単語でうまく言い換えています。政治記事などによく出てくる「Hexagone」(六角形)という単語が良い例です。これは国土の形が六角形であるフランスのことを指しています。

このように、同じ単語を繰り返さないことを考えた結果、いろいろな通称・別名ができてきたのかもしれません。またフランス人の友人によると、ラテン語由来のフランス語には英語と比べて長い単語が多いため、略す必要があるのではとのことでした。

言語学的な論文などにはあたっていないので確実なことは言えませんが、たしかに略語や通称は英語よりも多い印象があります。

 

おわりに

考えてみれば日本語も「なるはや」「キムタク」「銀ブラ」など、略語が好きな言語です。略語の作り方は言語ごとに違いますが、使う頻度が高い単語が略されていくのはフランス語だけに限った特徴ではないのかもしれません。

執筆 Takashi

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