2023年6月30日(金)、今年も7月1日(土)よりフランス夏の風物詩、ツール・ド・フランス(Tour de France)がいよいよ開催されます。今年で第110回目を迎えるこの自転車ロードレース、明日はスペインのビルバオ(Bilbao)からスタートします。
30の峠越え、今年はフランス5大山脈ルート
ツール・ド・フランスの今回のルートの特徴として、ピレネー山脈(Pyrénées)、中央山塊(Massif central)、ジュラ山塊(Massif du Jura)、アルプス山脈(Alpes)、ヴォージュ山脈(Massif des Vosges)と、フランスの5大山岳地帯が含まれています。
近年、ルートの中のステージ(étape)と呼ばれる区間が短めになり、その代わり起伏が激しくなる傾向があります。
ちなみに選手らは1ステージ平均約160kmの距離を、大体4時間程度で走行します。
今回も走行ルートは全部で21のステージに区切られていますが、その中に今年は過去に前例のない傾斜度の激しい第2カテゴリー30の峠越えが含まれています。(峠のカテゴリーは4つあり、最も傾斜が激しい順に1から4に分かれています。)
スペインのバスク地方、起伏が激しい厳しいスタート
スペインの北東部、ビルバオで第1ステージを終えた選手達には、バスク地方Pays Basqueの短いけれど起伏の激しいルートを通りながらスペインとフランスの国境を分けるピレネー山脈越えが待ち受けています。
数区間を経て南西フランスに入った選手らは、フランス側バスク地方のバイヨンヌ(Bayonne)、ポー(Pau)などを通り、北上してボルドー(Bordeaux)に入ります。そこから徐々にルートは東へ、中央フランスのリモージュ(Limoge)へと向かい、9日、中央山塊のピュイ=ドゥ=ドーム(Puy-de-Dôme)頂上への厳しい登り坂で第9ステージを終えます。
ツールドフランス女子、23日クレルモン=フェランから
第11ステージの開始地点は、フランスのほぼ中央に位置するクレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)ですが、ここから7月23日、ツールドフランス女子(Tours de france féminine)がスタートします。
女子のルートは男子とは異なり、ここから逆にカオール(Cahors)、ロデス(Rodez)など南西フランスを通り、30日、ピレネー地方のポーでフィニッシュします。
今年のハイライト、19日の第17ステージ、アルプス山岳ルート
フランスのほぼ中央に位置するクレルモン=フェランをすぎると、舞台は南東部へと移ります。
革命記念日の7月14日、ジュラ山塊のグラン・コロンビエ(Grand Colombier)の山頂で第13ステージのフィニッシュを迎えたのち、いよいよアルプス山脈に入ります。
今年最大の見所は何と言ってもサン=ジェルヴェ・モンブラン(Saint-Gervais Mont Blanc)からフィニッシュのクールシュヴェル(Courchevel)の区間です。
距離166kmのこの区間には4つの峠越えがあり、登り区間だけで全長68kmにも及びます。
そして最後の峠、ローズ(col de la Loze)の頂上は2,304メートルと今回のレースで最も標高の高い位置にあり、この頂上へ選手達は28kmも登り続けなければなりません。
今年は1回だけ、史上最短も「恐怖の」山岳タイムトライアル
ツールドフランスは団体競技ですが、通常全区間中2回だけ個人によるタイムトライアル(contre-la-montre)がありますが、今年は一回だけ、しかもレースの後半、第16ステージで行われます。
通常レースは平坦な場所で行われ、ステージの通過タイムを競います。
今年の区間は大会史上最短の22.4kmですが、なんと山岳地帯で行われます。
ここでのタイムが優勝を左右することも多々ありましたが、今年は1回しかない上、起伏の激しい区間でスプリントの得意な選手には不利になるかもしれません。
最終日は7月23日、恒例のシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)が3週間に渡るロードレースのフィニッシュです。
フランスの地方をめぐるこのレース、自転車レースに興味がなくても観光気分を味わえたりもします。
お楽しみください。
執筆:マダム・カトウ