2月11日(土)、パリ市内のデモ行進(筆者撮影)
2023年3月3日(金)、年金受給年齢を現行の62歳から64歳に引き上げるなどの年金改革に反対する大規模なストが今月7日、8日と2日間行われます。2月のスト同様、管制塔職員もスト参加を表明していることから、フランス民間航空管理局(DGAC)は全航空会社に減便要請を行いました。鉄道、精油所などの組合は、ストの「強化」として継続可能なストを発表しており、今回のストを長引かせ、政府に多大な圧力をかけると予告しています。
7日〜8日、パリ・ドゴール空港で20%、オルリー空港で30%減便
フランス民間航空管理局は、3月7日と8日の2日間、空港管制官のストに備え、パリ、シャルル=ド=ゴール(Charles-de-Gaulle)空港で20%の減便、パリ・オルリー(Orly)空港及び、ボーヴェ(Beauvais)、ボルドー(Bordeaux)、リール(Lille)、リヨン(Lyon)、ナント(Nantes)、マルセイユ(Marseille)、モンペリエ(Montpellier)、ニース(Nice)、トゥールーズ (Toulouse)の地方空港で30%の減便を全航空会社に要請しています。
フランスでは、ストライキ中も「最低限のサービスを保証」することが法令で定められていますが、この2日間はフライトキャンセル及び遅延が予想されます。(注)
先月16日のストの際も民間航空管理局は直前に同様の措置を行っていますが、空港では足止めを食らった旅行者でごった返していました。
2月上旬の大規模デモでは、管制塔職員組合はストへの参加を呼びかけておらず、「空の足には影響ない」という前評判でしたが、当日フライトは大幅に乱れています。
インフラ系組合、ストによる経済への影響を強化、政府が「折れるまで」続ける
これまで数回にわたり行われたストは、それぞれ1日限りの「終わりが見える」ストであったため、企業はあらかじめテレワークをさせることで被害を最小限に抑えることができていました。
度重なるストにもかかわらず年金制度改革の審議を続ける政府に対し、フランス最大の労働組合CGTのうち、鉄道やエネルギー業界の5つの支部は「24時間ごとに継続可能なスト」、つまりいつまで続くかわからないストを予告しています。
フランス国鉄、6日夕方より
CGTフランス国鉄支部(CGT-Cheminot)はすでに、会社側に継続可能なスト予告が承認されており、6日夕方より鉄道系の他の組合とともにストを開始すると発表しています。
石油化学コンビナート、精油所などエネルギー系業界の組合、Fnic-CFT も、6日から継続可能なストを予定しています。
精油所スト、長引くとまたガソリン不足?
精油所は昨年、9月末から約1ヶ月におよぶ昇給要求ストで全国的なガソリン不足を引き起こし、交通や国民の生活に多大な影響を与えています。
さらに航空燃料の給油職員、港湾職員のストも行われ、石油タンカーなどの入港や積み下ろしも阻止する構えを見せています。
特定の場所を狙った「停電宣言」
CGTの電力系支部の代表、セバスチャン・ムヌスプリエ(Sébastien Menesplier)委員長は、戦略的に重要な場所を狙った「停電」を行うと発表しています。
CGTはまた、製材業、建設業、商業施設などの組合の参加も呼びかけています。
組合側は、社会インフラを支えるこれらの業界が一斉にストを行うことで、政府に最大限の圧力をかけ、年金改革を阻止する構えを見せています。
全ての国民に関わる年金受給年齢の引き上げは、不便を強いられるものの世論の支持を得ていることから、今回のストが長引く可能性を秘めています。
(注)フライトキャンセルは通常近距離、中距離路線から行うため、日本行きなどの長距離フライトは運行されることがほとんどですが、乗り継ぎ便のキャンセル、変更などもあるため、この期間及び前後のフライトを予定されている方は航空会社からのメッセージにご注意ください。
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執筆:マダム・カトウ