フランス エネルギー節約への意識 政府内は歩調揃わず

2022.09.01

フランス エネルギー

気候変動やインフレにより、フランスではエネルギー節約(la sobriété énergétique)への関心が高まっています。特に暖房の使用頻度が高まる冬に向けて、ガス、電気、ガソリンの不足を防ぐためにフランス人はどのような意識をもっているのでしょうか?

 

エネルギー節約に対する意識調査

マクロン大統領は2019年7月14日、「2024年までに一人あたりのエネルギー消費量を10%減らす」という目標を発表しており、フランス全土でエネルギー節約への意識が高まっています。

主要メディアのひとつであるBFMTVの調査によると、58%の調査対象者が、「エネルギー消費を削減する準備ができている」、また、38%の人は「すでに消費量をできる限り抑えている」と回答しました。

一方で4%の人は「消費量を減らすこともできるが日常習慣は変えたくない」と考えているようです。

日常習慣から少しずつ

フランス市民の取り組みとは、どのようなものなのでしょうか。70%以上の回答者が実施しているのは、
・洗濯機や食洗機を「エコ」モードにする
・電球をLEDにする
・使っていない電化製品の電源を抜く(モニター、パソコン、洗濯機など)
などです。

一方、以下に取り組んでいる回答者は60%ほどのようです。
・暖房の節約
・シャワーやお風呂に使う水温を下げる
・車移動を減らす
・乾燥機を使わずに、洗濯物を自然乾燥させる

企業の努力も重要

個人のみならず、企業による努力もエネルギー節約には欠かせません。

今回の調査では、回答者の95%が「夜間の電光掲示板を禁止する」に、94%が「扉を空けたままでの冷房・暖房を禁止する」、90%が「自家用ジェットの禁止」に賛成するとしています。

これらの取り組みが意識されているにもかかわらず、回答者の77%は翌月以降の食料不足、59%はガス不足また54%が電力不足に危機感をもっているとのことです。

 

環境政策 難航

マクロン政権内では最近、自家用ジェットを規制することについて議論が行われています。

とくに今夏のバカンスシーズンでの動きをみたクレマン・ボーヌ(Clément Beaune)交通担当大臣は、フランス国内のみならずヨーロッパ全体でこの件を議論すべきと主張しています。

今の所は、自家用ジェットでの移動に新しく規制を設ける、あるいは課税するなどの案がありますが、まずは鉄道や、公共の航空機などでの手段がある場合に、ジェットを使用しないよう企業に対して要請するといった案が検討されています。

また、自家用ジェットでの移動時に排出されるガス量について、制限を設けるという案もあるようです。

政治上の困難

ところが以上の計画は、マクロン大統領率いる与党ルネッサンス(la Rennaissance)(旧共和国前進党 la République En Marche, LREM)が進めようとしても、現状では野党などとの調整がうまくいかずにいます。

エリゼ宮では今夏、大臣らの車が冷房をつけたまま駐車されている様子が撮影されました。

この写真は、環境政策にかんして政府内で歩調がそろっていないことを示しているとして、話題になりました。

右派との議論

今後マクロン政権がエネルギー政策を進めるためには、右派勢力の支持を失わないようにする必要があります。

右派には、政府内の「重鎮」とされるエドゥアール・フィリップ前首相(Édouard Philippe)、ブリュノ・ル・メール(Bruno Le Maire)経済・財務・産業大臣、ジェラルド・ダルマナン(Gérald Darmanin)内務大臣などがおり、与党にとっては難しい調整が求められることになりそうです。

執筆あお

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