6月28日(火)、フランスのエリザベット・ボルヌ(Élisabeth Borne)首相は、再び感染者数の増加しているコロナウイルス対策として、公共交通機関などでのマスク着用を勧告しました。
フランス保健省によると、29日時点で一日あたりのコロナウイルス感染者数は14万7000人にのぼり、2022年4月末からの最高値を記録しました。
再び感染者増のコロナウイルス
ここ一週間、フランスでは全国的にコロナウイルスの感染が拡大しています。感染者数は地域や年代にかかわらず急増しており、29日には前週比で54%増に達しました。
オミクロンの変種BA.5
今回の感染拡大は、オミクロン株の変異である「BA.5」が原因とされます。オミクロン株は2021年11月に南アフリカで確認された変異で、2022年5月にはすでにBA.4やBA.5が南アフリカの研究者によって確認されました。
南アフリカはウイルスの遺伝子配列に関する検査を組織的に行っており、他国はほとんどこの検査を中止したことから、今回の新しい変異をいち早く確認していました。
オミクロン株のBA.2は2022年あたまに世界各地で大流行して以来、下火になっているかに見られていました。しかし世界保健機関(WHO)によると今年4月末すでに南アフリカで第5波が確認されていたといいます。
BA.5の特徴
今回のBA.5もこれまでのオミクロン株と同様あるいはそれ以上に感染力が高いとされています。またウイルスの変異によって既存のワクチンが効かなくなっていることも指摘されています。
世界的には、BA.5の感染による入院率や致死率はこれまでの変異よりも低いと言われていますが、ワクチン接種率や医療体制の状況など国によって異なるという点には注意が必要です。
また、BA.5はこれまでの変異と比べて、一度感染すると症状が長く続くとされ、およそ10日間ほど続くこともあると報告されています。また症状については、熱、咳、喉の痛みや異常な疲労感に加えて、鼻水、吐き気や嘔吐も確認されています。
ワクチン開発
ワクチンは現在ファイザー社やBioNTech社が開発中で、オミクロン株に対する効用を上げているところだといいます。
フランス政府の対応
このような状況下で、ブリジット・ブルギニョン(Brigitte Bourguignon)保健・予防大臣による要請により、ボルヌ首相は28日、地域圏の知事また各地域の保険政策の担当者とテレビ会議を開催しました。
公共交通機関でのマスク着用「勧告」
テレビ会議を経てボルヌ首相は「人混み」と「閉鎖空間」とりわけ公共交通機関内でのマスクの着用を勧告しました。ただし「勧告」であって「義務的な性格をもつ決定ではない」としています。
ワクチン接種
ボルヌ大臣は、60歳以上また慢性病などをもつ人々にたいし、2回目となるブースター接種を近日中に受けられるよう手配する方針です。
今回再びワクチン接種が開始されれば、コロナ禍において通算4回目のワクチン接種となります。
新法
フランス政府はまた、2023年3月をめどに保健衛生にかんする措置を維持することを定める新法案を7月中に提出し、審議する予定です。
執筆あお