フランス大統領選挙 無視できない地域差 明らかに

2022.04.28

フランス 大統領選挙 2022

フランスでは4月24日(日)に大統領選挙の決戦投票を終え、6月にひかえる下院選への議論が始まっています。

今回の選挙では、地域別に見ると当選したマクロン氏よりも、極右政党「国民連合」のマリーヌ・ル・ペン(Marine Le Pen)氏の方が得票数の多い地域もあります。こうした状況を見ていると、下院選はマクロン氏にとって決して楽な戦いとはいえません。

 

マクロン氏支持の多かったイル=ド=フランス地域圏

まず、当選したマクロン氏を支持した地域を見てみましょう。グラフは、基礎自治体の最小単位であるコミューン(commune)ごとの得票率を示しています。

特に得票率が高かったのはパリ市内のコミューンに集中していることがわかります。

コミューンの次に大きい行政単位である、地域圏(département)別に見ると、イル=ド=フランス地域圏(Ile-de-France)では投票数の73.02%がマクロン氏に、26.98%がル・ペン氏に投票し、マクロン氏の圧勝でした(なお、同地域圏の棄権率は29.38%)。

メランション支持層などを獲得

しかし第1回投票の段階で、同地域圏でマクロン氏よりわずかに多い得票を集めたのは極左のジャン=リュック・メランション(Jean-Luc Mélenchon)氏でした(得票率30.24%、マクロン氏は30.19%、ル・ペン氏12.97%)。

特にメランション氏の支持者に多かったと見られる棄権や白紙票の割合が、イル=ド=フランス地域圏ではフランス平均よりも低かったことから、決選投票では、メランション氏の支持層がマクロン氏に投票したことが予測できます。

最終的にマクロン氏は、イル=ド=フランス地域圏でフランス平均よりも10ポイント近く多くの票を集めました。

このような現象は、リヨンやマルセイユなどの大都市でも見られました。

 

ル・ペン氏支持の多かった海外県

決選投票で敗北したル・ペン氏は、グアドループやマルティニークなどの海外県で多くの票を獲得しました。しかしこれらの地域でのル・ペン氏への投票数は43万票分にあたり、マクロン氏の当選を阻むほどの影響力はありませんでした。

海外県では、第1回投票の時点でメランション氏への投票率が高く、「反マクロン」の傾向がすでに表れていました。この傾向は決選投票でのル・ペン氏の得票率につながったとみられます。

2017年の選挙時には、マクロン氏は決選の選挙運動が開始した直後に海外県を訪れました。今回はこのような動きがみられなかった他、ここ2年間のコロナ対策に対する不満が海外県では強く、マクロン氏への反感を強めたと言われています。

棄権率も高かった海外県

一方、海外県では棄権率がフランス平均より高く(グアドループで52%、マルティニークで54%、赤道ギニアで61%)、ル・ペン氏への潜在的な支持層は今回の得票数よりもより多いと見られています。

このように、イル=ド=フランス地域圏と海外県を比べても、今回の選挙への関心や支持する候補者の傾向に大きな地域差があったことがわかります。下院選でマクロン氏は、ル・ペン氏の支持層や、今回棄権した有権者へのアピールが必要となります。

執筆あお

参照
Ministère de l’Intérieur Election présidentielle 2022 Résultats par département

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