7月1日(金)、パリのシャルル・ド・ゴール(Charles-de-Gaulle)空港とオルリー(Orly)空港では、昨日30日から空港職員が大幅なベアを要求するストに突入し、欠航や大幅な遅延など空のダイヤに乱れが出ています。今回のストは3日までと発表されていますが、ストは6月にも行われており、学校の夏休みに入る本格的なバカンスシーズンを1週間後に控え、今後の動向が注目されます。
今週末のフライト、17%キャンセル
ド・ゴール空港の午前7時から14時の発着便のうち、全体の17%に当たる便が欠航を余儀なくされています。
空港職員に加え、空港常駐の消防士も30日よりストに入ったことから、パリ空港公団ADPグループは安全確保のため滑走路の一部を閉鎖、発着便全体の約10%のフライトをキャンセルするよう各航空会社に依頼していました。
パリ空港公団労働組合の書記長ダニエル・ベルトン(Daniel Bertone)氏によると、消防士は新規雇用の困難から特殊技能への特別手当と基本給の見直しを求めています。
6月9日に行われた多業種組合が参加するベア要求ストのムーブメントに、空港職員および下請けされている荷物係などの参加しています。
本日空港では組合員らによるデモがドゴール空港のターミナルE、オルリー空港のターミナル4で予定されており、空港に到着した旅行客の流れを妨げ、さらなる混乱を引き起こすことが危惧されます。
また、荷物の引き渡しや搬入にも大幅な遅れが予想されます。
ベルトン書記長は、「あまりにも遅れがひどくなると更なる欠航がでるだろう」と述べています。
ポストコロナで需要増も、深刻な人員不足
マルセイユ(Marseille)空港でも本日より4日までストが決行され、さらにボルドー(Bordeaux)、レンヌ(Rennes)の空港でも同様の動きになっています。
マルセイユ空港公団の労働組合FOの代表オリヴィエ・トラニエロ(Olivier Traniello)氏によると、空港公団はコロナ禍で大幅な人員削減を行いましたが、ポストコロナで需要が大幅に回復し2019年を超えつつあり、深刻な人員不足に陥っています。
パリ空港職員、6%のベア要求
パリ空港職員は今年の1月からにさかのぼって6%のベア要求していますが、パリ空港公団側は7月1日から3%を提示しています。組合側によると、6%の大幅増の理由はインフレによる購買力の低下、またコロナ禍で減給になった分の補填です。
パリ空港公団ADPグループも多くの航空会社同様、コロナ禍中、希望退職や減給を行ってきました。希望退職者には需要が回復すれば同じ条件で再雇用し、給与は元に戻すことを約束しています。
ベルトン書記長によると、空港の利用客はアジア線を除き、ほぼ100%コロナ前の状況に戻っているにも関わらず、職員の70%の給与が2019年のレベルに戻っていません。
夏のバカンス、空港の混乱「不可避」
今回のストは3日に終了する予定にも関わらず、パリ空港公団は搭乗客に国際線は3時間前に、国内線およびヨーロッパ線は2時間前に空港に到着するように呼びかけています。
エールフランス航空は本日1日のフライトのうち、短距離及び中距離フライトの10%を欠航にしています。
欧州各国で利用客にしわ寄せ
7日に学校が夏休みに入ると最初の週末である今月9日、10日は、本格的な夏のバカンスシーズン突入となりますが、フランスのみならずヨーロッパの空港ではどこも混乱が予想されます。
インフレのため欧州各国で起こっているストもさることながら、急激な需要の回復でどこも人手不足に陥っているからです。航空業界はコロナ禍による業績不振から人員削減を行っており、パリ空港公団も2021年に希望退職を募るなどで1300人解雇しています。
利用客にしわ寄せがいく状況に危機感を持った旅行業協会は、ボルヌ首相に陳情の手紙を送っています。
執筆:マダム・カトウ