9月2日(金)、今月1日よりパリ市内でオートバイ、スクーターなど二輪車の駐車が有料となりました。ただし、電動バイク、EVスクーターなど排気ガスを出さない機種はこれまで通り無料です。バイカー達からは不満の声も上がっています。
パリ市、電動バイク優遇策で排ガス減や騒音の緩和を
9月1日より、オートバイやスクーターはパリ市内で駐車する場合、1時間あたり2(1ユーロ=約139円/約278円)〜3ユーロ(約417円)の駐車代を払わなくてはなりません。(注)
交通渋滞の多いパリ市内では、移動にオートバイやスクーターを利用する人が増え続けています。そのため排ガス、騒音、および歩道に溢れかえるバイクやスクーターが歩行者の邪魔になるなどの問題も増えていました。
対策を迫られたパリ市は、バイクの駐車代有料化を決議し、今年1月からの施行を予定していましたが、結局8ヶ月遅れの9月からに延期されました。
今回の有料化に関し、パリ市公共スペースおよび交通担当のダヴィッド・ベリアール(David Belliard)助役は「(有料化により)公共スペースのより良い共有が可能になる」と述べています。
また、自動車の駐車は有料にもかかわらずバイクだけ無料は不公平との指摘もあり、これまでも何度か検討されていました。
あきらめ、不満、バイク利用者の反応
バイクで通勤するフレデリック(Frédéric)さんは「払うしかない」とあきらめ気味ですが、「そもそも有料の駐車スペースが足りない」ことが問題だと指摘します。
コロナ禍を機に、パリの公道の多くに自転車専用レーンが作られ、市内のいたるところに自転車用の駐輪スペースが作られました。
公道で利用スペース自体がが狭まっている中での今回の有料化に、オートバイの利用者は「冷遇されている」と感じています。
フレデリックさんはまた、オートバイの利用者が増えるということは「自動車の利用者が一人減ることだから(環境により良い?)」と不満です。
「自動車の駐車は有料なので、バイクも払うのは当然だと思う」というバイクの利用者のガリエン(Galien)さんですが、「パリ市のホームページを何度も読んだけど、どういう仕組みになっているのかわからない」と困惑気味です。
パリ市内には42000台分の駐車スペースがありますが、それでも全く足りていないため、ガリエンさんは「規則は守りたいけど、遵守するのは難しい」と話しています。
割引料金の登録方法がわからない?!人続出
バイクの駐車料金は自動車の半額に設定されています。
駐車チケットは駐車スペースにある料金精算機、もしくはPayByPhone, ParkNow Flowbirdといったアプリから購入できます。
ビジター料金は1区から11区、12区から16区の2通りに分かれていますが、時間が経つごとに1時間あたりの駐車代金は倍増し、パリ1区で6時間駐車すると37.5ユーロ(約5,212円)に上ります。
ちなみに違反者への罰金は37.5ユーロです。
気軽にパリに遊びに来るには高い駐車代
料金はレジデンス(住民)料金(1年間22,5ユーロ(3,127円)、1日0,75ユーロ(約104円))他、パリ市内でバイクに乗って仕事をする人向けのプロフェッショナル用料金、パリ市内に通勤で利用する人の料金などがあります。
駐車料金や適用条件の詳細はパリ市のホームページに記載されています。
登録はオンラインのほか郵送も可能ですが、やり方がわかりにくく、申し込みから完了までに14日以上要するため利用者から不満の声が上がっています。
電動バイクに買い替え急増、環境への貢献には「懐疑的」
二輪の駐車有料化を機に、電動バイクに買い替えた人もいます。
ヴィルジニー(Virginie)さんもその一人ですが、「パリ市はあの手この手で電動バイクに買い替えさせようとしている」ため「仕方なく電動に」買い替えたようですが、いずれは電動バイクの駐車代も有料になるのではないかと危惧しています。
電動バイク購入に補助金400ユーロ
リシャール(Richard)さんは、買い替えに400ユーロ(約55,600円)の補助金が出ることから「今のうちに買い換えようと思っている」と話しています。また住んでいるアパートに電動車の充電スタンドがタイムリーに設置されたことも、彼の背中を押し、買い替えに前向きになっています。ただし電動バイクが「本当に環境にいいかどうか?」については大きな疑問を持っています。
すでにEVスクーターに乗るソフィー(Sophie)さんは「環境のために、すべてのバイクが電動バイクになるべき」と、今回のパリ市の電動バイク優遇策を歓迎しています。
執筆:マダム・カトウ