パリ シャルル・ド・ゴール空港、コロナでターミナル4の夢破れ

2021.02.12

 

パリシャルル・ド・ゴール

2月12日(金)、バルバラ・ポンピリ(Barbara Pompili)環境・エネルギー大臣は、昨日11日パリ空港公団ADP(Aéroport de Paris)に新たな空港の発展計画を早急に提出するよう要請しました。これにより今年着工が予定されていたパリシャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)空港のターミナル4の建設計画は完全に破棄されました。

 

強まる環境への懸念、航空機のクリーンエネルギー化を

政府は、ド・ゴール空港の拡張計画が今後強化していくべき航空機の「クリーンエネルギー化を見据えていない」ことを主な理由に、新ターミナルの建設計画を却下しました。

空港公団によると、総工事費用は想定で70〜100億ユーロ(約890億円〜1,270億円/1ユーロ=約127円)にのぼり、2037年に完了予定でした。現在3つあるド・ゴール空港に4つ目のターミナル (T4)が加わることにより、2019年の年間の利用客約8,000万人に加え4,000万人の利用客増が見込まれていました。

今年中に着工される筈だったこの拡張計画ですが、昨年からのコロナ禍による航空需要の激減でかねてより維持が危ぶまれていました。

 

空港公団、計画何度も練り直しも先の見通し《全く立たず》

パリ空港公団の筆頭株主(50.6%保有)であるフランス政府の要請に、公団側は「了承した」との声明を出した以外は表立って異議を唱えてはいません。しかし、公団側は既にこれまで何度も計画の練り直しを政府に提出し、大幅な譲歩を行ってきました。

ジャン=バティスト・ジェバリ(Jean-Baptiste Djebbari)運輸政務次官補は、既に昨年7月末の時点で、「拡張工事を当初の計画のまま遂行するのは現状にそぐわない」と発言していました。

また空港公団自身も、昨年の四半期業績発表時に「コロナ禍により拡張計画の調整を行う」と発表し、「水素燃料を利用するゼロエミッション旅客機の到来を視野に入れ、政府の環境への意見を取り入れる」と、方向転換の必要性を表明していました。

2020年のトラフィック70%減

拡張計画はコロナ禍以前で空港が最大限に利用されていた時に作成されましたが、2020年のド・ゴール空港の利用客は約7割減の2,230万人でした。

今年に入ってもコロナ収束の見通しは立っておらず、空港公団は収束後も2019年以前のトラフィックに回復するのがいつなのか、そもそもコロナ以前までに回復するのか全く見当がつかない状況にあります。

そのため、公団としては現時点での決断を避け、今までの成長を促進するビジネスモデルから転換し、当面は投資を控えていく構えを見せています。

パリ空港公団の2020年の投資額は4,000万ユーロ(約51億円)減で、希望退職などで700人の人員削減を行なっています。

社債発行で資金繰り、コロナ収束待つのみ

同公団は今月17日に決算発表を行いますが、昨年深刻な赤字に陥ってはいるものの、昨年6月末の時点で28億ユーロ(約3,558億円)のキャッシュフローが有りました。

さらに、7月には社債発行で25億ユーロ(約3,177億円)の資金調達を行なっていることから、コロナ後の航空需要の回復を待つのに十分な体力があると言えます。

執筆:マダム・カトウ

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