2月2日(火)、コロナ変異種による急速な感染拡大を警戒するフランスで、これまで感染者の少ない例外国として制限の対象外だった日本からの入国制限も強化されました。これにより、現在フランスへの入国は居住者など滞在許可所持者、医療関係者などに限られています。そういった中でのフランス入国時の状況をお知らせします。
日本でのPCR検査、「唾液検査」なら陰性でも到着後再検査
まず日本出発にあたり、出発72時間前のPCR検査が必要になります。そして、日本ではこれがかなりの高額であるのに驚きます。
フランスのPCR検査は無料で、街中にあるラボ(検査場)で受けることができます。これに対し、日本では任意の検査に国の支援がないからか民間任せで、料金は大体9,000円から1万円です。さらに搭乗に必要な陰性証明書の発行には追加料金がかかり、合わせて12,000円から17,000円ぐらいが相場のようです。
しかも、この価格帯の検査は唾液を自分で採取して郵送する方法を取っています。
もちろん検体到着後、即日にメールで陰性証明を受け取れるという便利さはあるものの、これは単に「日本を出国するためのフライトに搭乗する」際しか役に立たないことが、フランスに到着するとわかります。
フランスや欧州の国々でのPCR検査は、鼻から細長い綿棒を奥に入れて検体を採取する方法が取られています。
詳細はわかりませんが、唾液での検査はフランスを含むEUでは採用されておらず、この検査方法で陰性証明をもらった人は、日本出発のフライトには乗れますが、フランスに到着すると再検査の対象になります。
ちなみに、日本でもクリニックなどに出向いて行う場合は、鼻からの検体採取を実施しているところがあるようですが、私が知る限りでは35,000円ぐらいとさらに高額でした。
なので、出発前に知っていたとしても、私はフランス到着後の無料再検査を受ける方を選択したかもしれません。
日本出国の際、チェックインカウンターで書類を提示
陰性証明書はチェックインカウンターでの提示が必要になります。さらに、フランス政府が要求するフランス語か英語の「宣誓書」(ENGAGEMENT SUR L’HONNEUR)も提示を求められます。この宣誓書はフランス内務省のサイトからダウンロードできます。(注:必要書類は変更になることがあります。必ずご自身でご確認ください)
内容は、「コロナ感染の症状がない事」、「到着時に再検査を受けることを承諾する事」、「到着後7日間は自主隔離をする事」、および「到着7日後に再度PCR検査を受ける事」等を宣誓するものです。
機内で質問書を記入
機内では到着後の連絡先、緊急連絡先、フライトNoや座席番号などを記入する用紙が配られ、到着前に回収されます。また、入国時に搭乗券の提示を求められるため、機内で捨てないように注意してください。
到着後、陰性証明書を提示し、出国又は再検査場へ
到着すると入国審査場の手前に”Protection Civile”のユニフォームを着たスタッフが立っており、陰性証明書の内容をチェックします。
“Protection Civile”(Fédération nationale de protection civile)は、ファーストエイド(救急処置)の訓練を受けたボランティアが活動する政府公認の市民支援団体です。活動内容は自治体により多少異なりますが、通常災害支援などをミッションとし、コロナ禍に於いてはPCR検査も行っています。2020年現在、33,000人のボランティアが所属しています。
入国審査官が警察なのに対し、ボランティアの彼らは「優しく」とても親切なので少々ホッとします。
この日は日本からの便と同じ時間帯にコロンビアからの便が到着したようでした。スペイン語を話すボランティアが丁寧に書類を確認し、95%ぐらいの人は「出国」の方に向かっていました。
日本からの便にはそもそも30名ぐらいしか乗っていませんでしたが、自分を含む数名が「再検査場」に行くための入国検査に並びましたが、全員じゃなかったので「他の人は知っていたのか?」と軽いショックを受けました。
陰性証明書には「検体種別」という欄があり(ない場合はどうやって検査したか聞かれます)、これが「唾液」の人や証明書がない?人は再検査場に通されました。
ちなみに、日系航空会社の係員の方が入国審査の辺りから検査場まで来てくれていたのはありがたかったです。
荷物受け取りの一部がPCR検査場に
ド・ゴール空港第2ターミナルの荷物受け取り場の奥に、広々とした検査場が設けてありました。
入国規制強化で、ほとんどの国から事前の陰性証明の取得が義務になったせいか、検査場は混雑しておらず、数名が検査結果を待っているにすぎませんでした。
私が着いた時にいたのは、唾液で再検査になった日本人がほとんどで、中には陰性証明書のアプリが開かないために証明できず、再検査になったと嘆くフランス人もいました。
受付の前に看板に表示されているQRコードからアプリをダウンロードし、記入が完了するとQRコードが出ます。これと先述の誓約書を係員がチェックした後、番号のついた書類を渡されます。
10分ぐらいで番号を呼ばれアルコールの匂いが鼻につく仕切り↓の中で検査します。
両方の鼻に一回ずつ細い綿棒を突っ込まれてくしゃみが出そうになります。確かに不快ですが、思ったほどではありませんでした。
検査終了後20分ぐらいで番号を呼ばれ、検査結果と注意事項が記載された紙をもらいます。検査会場を出る手前に警察官がおり、パスポートとこの紙を見せて荷物置き場に向かいます。
フライトの到着後、約1時間で外に出られました。
ちなみに、夜間外出禁止令が18時からのせいか、午後5時を過ぎると空港からパリへの道は大渋滞です。タクシーでパリ市内まで1時間以上かかってしまいました。
フランス入国に関する情報:在日フランス領事館サイト
執筆:マダム・カトウ