9月22日(火)、フランスのエールフランス航空とオランダのKLMオランダ航空の持ち株会社、エールフランス-KLM航空(Air France-KLM)CEO ベンジャミン・スミス(Benjamin Smith)氏によると、フランス、オランダ両国からの援助だけでは「今後12ヶ月ぐらいしか持ちこたえられない」ことから、今後さらなる資本の強化が必要とされます。
オランダ政府、フランス政府から計104億ユーロの援助
エールフランス-KLM航空の株は、大株主のフランス政府が14.3%、オランダ政府が14%所有し、次いでデルタ航空(Delta Airlines)、中国東方航空がそれぞれ8.8%、アメリカの投資会社コーズウェイ社(Causeway capital managment) 6.9% 、同じくドナルドスミス社(Donald Smith & Co)が 5.2%を保有し、社員の持株が3.2%、自社保有が0.3%、残りの38%が浮動株で構成されています。
同航空会社はこの春オランダ政府から34億ユーロ(約4,174億円/1ユーロ=約123円)フランス政府から70億ユーロ(約8,598億円)借り入れています。合計104億ユーロの借入金の内、64億ユーロ(約7,863億円)は政府保証付借入金となっています。
政府保証付貸付金は、コロナ禍で資金繰りが悪化した企業に対し政府が銀行の貸付額の大部分を保証するもので、利率が0.25%〜0.5%、企業は借り入れ後6年間で返済します。また、返済額と時期は企業が自由に決定することができます。
業績回復、2024年以降
スミスCEOは「業績の回復に当初の予測より時間がかかっており、2019年並みに戻るのは2024年ごろと両政府に伝えてある」と述べています。そのため増資などの資本強化も検討し、この秋の株主総会までに決定されます。
同氏によると、7〜8月の夏休みで一旦需要は増えたものの、現在のところ昨年の6割減で推移してます。
大幅コストカット必須、今後2年間で13000人解雇
6月末の時点で142億ユーロの資金を保有していたエールフランス-KLMグループは、コロナ後の組織再構築計画を開始し、その一環として2022年末までにエールフランス航空で7580人、KLMオランダ航空で5000人の解雇を行います。
この組織再構築計画は、すでに昨年2019年11月に発表されていましたが、コロナ禍により「大幅に加速して遂行する」必要に迫られています。
儲かる路線のみ運行、フランス国内線再編
スミス氏は、「今後数ヶ月は可能な限り経費削減に集中する」と述べ、特に運行路線の大幅な見直し検討を行い「採算の取れる路線しか運行しない」方針を固め、非採算路線として、200万ユーロ(約2億5000万円)の赤字を出しているフランス国内線を挙げています。
今後エールフランス子会社のローコスト航空会社ホップ(HOP ! )の合理化などが進められますが、一方で、「パリのシャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)空港と地方の空港との連携とリヨン(Lyon)空港のハブ機能(拠点空港機能)を残し」黒字化を目指します。
執筆:マダム・カトウ