明日2月14日(金)より、パリのアーセナル博物館(pavillon de l’Arsenal)にて《シャンゼリゼ大通り:歴史と展望展》(Champs-Élysées : histoire & perspectives)が開催され、大通りを近代化する大改造計画が一般公開されます。
《世界で最も美しい大通り》 パリ市民には不評
シャンゼリゼ大通りはパリで最も観光客に人気があるスポットの一つとして知られ、また毎年《パリ祭》(fête du 14 juillet)の軍事パレードが行われるなどフランスのシンボルとも言えます。元々この大通りは、ルイ14世の命を受けた造園師ル・ノートル(Le Notre)によりパリ市民の散歩道として作られました。
ところが2019年の調査では、通りに来る人の68%が観光客、特に海外からの観光客で、パリ市民はわずか5%しかいません。また別の調査では、パリ市民の9割がシャンゼリゼ大通りに対し「騒々しい」「ストレスが溜まる」など否定的なイメージを持ち足を運ぶのを避けていることがわかりました。
パリ市民参加型で、未来のシャンゼリゼを作る
シャンゼリゼ大通りは、19世紀に商人らにより結成された保護団体《シャンゼリゼ委員会》(comité Champs-Élysées)によって運営され、新規店舗の進出の可否を決定したり、クリスマス時期のイルミネーションやパリ市との各種交渉などを行っています。
委員会は大通りを敬遠するパリ市民を呼び戻そうと改造プロジェクトを立ち上げ、建築家フィリップ・シアンバレッタ(Philippe Chiambaretta)氏とそのチームに改造案を依頼しました。
それから1年半後、予算100万ユーロ(約1億2千万円)をかけ、2030年全完成を目標に《ヴィジョン2030》(Vision 2030)と呼ばれる改造案が出来上がり、明日14日から行われる《シャンゼリゼ大通り:歴史と未来展》で発表されます。
会場にはパリ市民の意見や提案を受け付けるスペースが設けられ、またオンラインでも意見を募集しています。
展示されている現在の写真やビデオを見ると、全長約3kmのうち凱旋門寄りの半分は世界中の観光客で混雑していますが、コンコルド広場側にある残りの半分は人気が疎らなことなど、現在の問題点も見えてきます。
《パリ市民に放棄された》シャンゼリゼに活力を
シアンバレッタ氏によると、「価値が著しく下がり(パリ市民に)放棄されてしまった」大通りに活力を与えるため、このプロジェクトには、建築家だけでなく「アーティストやデザイナー、科学者などあらゆる分野の人たちの意見を広範囲で取り入れ」ています。
同氏はまた、2024年にパリオリンピック開催も控えていることから、「フランス最高峰のテクノロジーと職人技の粋」を世界の人々に披露する場にしたいと語っています。
環境への配慮にも重点をおいた改造案には、大通りとエトワール広場の自動車道を半分に減らし、1000本以上の植林やコンコルド広場の歩道化、庭園スペースを3倍にすることが盛り込まれています。
未来のシャンゼリゼ大通り:
Les Champs des possibles from PCA-STREAM on Vimeo.
実現は?次期パリ市長次第
計画を作成したのはシャンゼリゼ委員会ですが、総工費用の推定が1500万ユーロ(約17億9000万円)というこのプロジェクトが実現するか否かは、今年3月15日と22日に行われるフランス市議会議員選挙を経て、パリの市長が誰になるかにかかっています。
決まり次第、委員会はこの大通り改造計画を新市長に提出する予定です。
《シャンゼリゼ大通り:歴史と展望展》2月14日〜5月10日 入場無料
Champs-Elysées: Histoire et perspectives
会場:アーセナル博物館(Pavillon de l’Arsenal)21, boulevard Morland, 75 004 Paris
執筆:マダム・カトウ