2月14日(金)、今年3月に行われるフランス地方選挙を前に、メディアが市長さんや村長さんの報酬に注目しています。
人口10万人以上で月給5600ユーロ
地方自治体の長の月給は給与表に基づき、人口1000人以上3500人未満の自治体でグロス(税引き前、社会保障費用個人負担分天引き前給与)が1670ユーロ(約20万円/1ユーロ=約120円)、3500人以上1万人未満では2140ユーロ(約25万円)前後です。
人口が1万人を超えると2500ユーロ(約30万円)、2万人以上で3500ユーロ(約42万円)、5万人以上で4300ユーロ(約51万円)と段階的に増えて行き、ニース(Nice)、トゥールーズ(Toulouse)、ナント(Nantes)、ストラスブール(Strasbourg)、モンペリエ(Montpellier)など人口10万人以上の市長さんたちの月給は5600ユーロ(約67万円)からです。
このように住民の数に応じて給与ルールがあるわけですが、2014年にフランスの有力紙ル・パリジャン(Le Parisien)が独自に調べた結果、パリの南西20km、イヴリーヌ県(Yvelines)にある人口2万8000人のギアンクール(Guyancourt)町が財政赤字に陥ったところ蓋をあけると町長が町議会の承認の下、人口5万人以上の自治体レベルの報酬を得ていたことが明らかになるなど、忠実に守られていないケースもあります。
フランス3大都市は8000ユーロ以上
フランスで最も人口の多い3都市、パリ、リヨン(Lyon)、マルセイユ(Marseille)の市長は、それぞれグロスで最低でも月8000ユーロ(約96万円)の報酬がもらえます。
来月の選挙で再選を狙うパリのアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長は、自らの報酬を公表しています。それによると手取り6500ユーロ(約78万円)に加え、兼任しているメトロポール・デュ・グラン・パリ(Métropole du Grand Paris)という委員会の副委員長として1000ユーロ(約12万円)の報酬を得ています。
兼任で稼ぐ 上限月8400ユーロ
フランスの法律で地方議会議員は県議会議員、国会議員などとの兼任が現在不可となっています。しかしながら、パリ市長もそうですが、例えば国の「何々委員会」などで自分の自治体を代表することが出来ます。
また、国会議員の兼任は駄目でも大臣にはなれます。現マクロン政権になってから、大臣が地方自治体の長を「兼任しないように推奨」されてはいますが、首相のエドワール・フィリップ(Edouard Philippe)はル・アーブル(Le Havre)市議会選挙に出馬しています。ただし当選しても市議会議員になるのは「首相職を降りてから」との事です。
兼任しても、報酬は最高で8400ユーロ(約100万円)の上限を超えてはなりません。
人口1000人以下なら660ユーロ、報酬辞退も
フランスに3万5000ある地方自治体のうち、2万5000が人口1000人以下の村です。
村長さんの報酬は、人口500人未満で660ユーロ(約7万9000円)、999人までで1200ユーロ(約14万円)です。しかし安すぎると言うことで、現在1670ユーロ(約20万円)に上げる法案が提出されています。
報酬が安すぎてやってられないから今回出馬しない自治体の長がいる中、逆に自治体の中に報酬を辞退する村長さんが特に小さい自治体に多数います。これは現在は「不可」とされているはずの「兼任」議員が存在するためであることも理由の一つです。
また、時間数の制限があるとはいえ副業も許可されています。
パリ市長の給料は安い?
人口約215万人のパリ市長の月給は最高で8400ユーロ(約100万円)で、これはのマドリード市長とほぼ同じレベルです。人口890万人のロンドン市長の2009年の月給は14,200ユーロ(約170万円)で、これはフランスでは大臣クラスの月給になります。
オランダでは人口2000人未満の村で1530ユーロ(約18万円)、1万8000人未満で4000ユーロ(約48万円)、フランスの人口2万人以下の自治体の長の月給より2500ユーロ(約30円)も高いことになります。
執筆:マダム・カトウ