昨年11月17日(土)に始まった《黄色いベスト運動》(Le mouvement des Gilets jaunes)から本日15日で1年が経過しました。当初、政府が発表した燃料税値上げに反対して起こったこの運動は、毎週土曜日にフランス各地で行われるようになり、社会的格差への不満を訴える一大ムーブメントに発展しました。今でも続いているこの運動ですが、時間とともに規模が縮小しています。明日16日(土)、1周年を記念して大規模なデモが呼びかけられています。
シャンゼリゼ大通りに結集を呼びかけ
黄色いベスト運動参加者の多くは、1周年記念にシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)でのデモを希望しています。
黄色いベスト運動はひとつの団体によってまとめられていない市民運動のため、デモには複数の呼びかけがありますが、そのうちの1つ《黄色いベスト運動第53回、シャンゼリゼ大通り1周年記念》(Acte 53 Gilets Jaunes l’anniversaire sur les Champs-Élysées)には、5000人が《デモ参加》を表明し、6500人が《興味アリ》と参加を検討しています。
このデモの主催者で、《黄色いベスト市民団体》(Gilets jaunes citoyens)創設者の一人でもあるティエリー・ポール・ヴァレット(Thierry Paul Valette)氏のツイッターでの発表によると、シャンゼリゼ大通りでのデモ申請はパリ警視庁により却下されています。
警視庁はデモ申請を却下
パリ警視庁(Préfecture de Police de Paris)は、今年3月16日に黄色いベスト運動のデモ隊が無許可でシャンゼリゼ大通りになだれ込み、暴徒と化して商店などの破壊行為を行って以来、《治安面でのリスクが非常に高い》ことを理由に、パリの象徴ともいえるこの大通りでのデモ申請を却下しています。
一方、黄色いベスト運動の中心人物の一人、プリシラ・リュドスキ(Priscillia Ludosky)氏が呼びかけるデモはシャンゼリゼ大通りを通過しないため許可され、イタリー広場(place d’Italie)から、10区のフランツ・リッツ広場(place Franz Litz)まで行われます。
パリの環状道路をブロック
運動のもう一人の中心人物で、トラック運転手のエリック・ドゥルエ(Eric Drouet)氏が申請したデモルートは、シャンゼリゼ大通りを含むため警視庁に却下されています。
そのため、朝10時からパリの外環状道路をトラックなどでブロックし、無許可の場所から徒歩でデモ行進し、午後2時から《黄色いベスト》を着用せず、警察にわからないような形でシャンゼリゼ大通りに結集する計画を、自らのフェイスブックページで呼びかけています。
地方でも200以上のデモ予定
フェイスブックで発表されている明日土曜日のデモ数は、首都パリのみならず、フランス全土で少なく見積もっても200に及びます。トゥールーズ(Toulouse)、リール(Lille)、モンペリエ(Montpellier)、ナント(Nantes)、リヨン(Lyon)などで呼びかけられているこれらのデモですが、パリとは異なり多くても数百人の参加が表明されているに過ぎません。
1年前の参加者、28万人
黄色いベスト運動は、ピーク時の昨年11月17日にフランス全土で28万2000人の参加を集めています。現在まで死者11人、怪我人4,439人、逮捕者12,107人を出しています。
執筆 : マダム・カトウ
画像はウィキペディアフランスからお借りしました。