2025年12月5日(金)、毎年12月31日に行われていた恒例のシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Elysées)のコンサートは、今年は安全上の問題から開催を断念したと発表されました。
2024年の大晦日、シャンゼリゼが“過密状態”に
大みそかの一大イベントであるカウントダウン、シャンゼリゼ大通りには毎年多くの人が訪れます。
特に昨年は、パリ五輪の開催年でもあったことから、夕方19時から五輪をテーマにした凱旋門のプロジェクションマッピング、DJなど、大掛かりなカウントダウンイベントが開催され、例年を上回る来場者が押し寄せました。
パリ警視庁によると、昨年は夜10時ごろからカウントダウンまでの2時間ほどの間、大勢の来場者による群衆の動きが硬直状態となり、来場者のみならず出演するアーティストも含め、大変危険な状態となりました。
警視の一人は、この日は一触即発状態で、「パリ五輪開催期間中の3週間の警備よりひやひやした」とコメントしています。
警備に6,000人も多勢に無勢
昨年、大みそかイベントには6,000人もの警官や機動隊が動員され、警備にあたっていました。
イベントの開催場所付近にはチェックポイントを設置して、人の流れのコントロールや不審者の侵入を避ける措置をとっていましたが、来場者が多すぎて、複数個所では人混みによる押し合いが発生、一歩まちがえば将棋倒しなど群衆事故につながる状態でした。
パリ警視庁、密集で「危険度増す」コンサートの中止をパリ市に要請
例年、一晩で約100万人もの人が訪れる大みそかのシャンゼリゼ大通りは、コンサートが開催されなくても、大掛かりな警備体制が必要になります。
コンサートなどのイベントを開催することにより、一目見ようと群衆がさらに密集することになるため、危険度がさらに増すことになります。
昨年の苦い経験を踏まえ、警視庁はパリ市に中止を要請、イダルゴ市長(Anne Hidalgo)は承諾しました。
伝統あるイベントの中止に、一部の政治家からは批判の声も上がる中、シャンゼリゼ大通りが位置するパリ8区、ジャンヌ・ドゥ・オートセール(Jeanne d’Hauteserre)区長は、「特にこの日訪れる子供たちの安全確保のためにも、(コンサートの)中止には賛成です」と述べ、市長の決断を歓迎しています。
さらに「シャンゼリゼ大通りはコンサート会場には不向きですから」と付け加えています。
ニューイヤーの花火は開催、コンサートは録画で放映
大みそかのコンサートは、ライブではありませんが、12月31日にFRANCE2で録画が放映されます。
実はこの映像は、11月末にコンコルド広場(place de la Concorde)で撮影されています。観衆には映画などの撮影に使われるエキストラを動員して臨場感を出す演出を行っています。
また、エッフェル塔の花火は予定通り行われます。
執筆:マダム・カトウ













