12月6日と13日に地方議会選挙がフランス全国でありました。
新しい地方区分での選挙
フランスには現在、海外地方を除くと22の地方がありますが、2016年からは合併統合されて13になります(このことについては一年前こちらに書きましたので、よろしければご覧ください)。それで今回の地方議会選挙は、来年からの新しい13地方の区分で行われました。
国民戦線の台頭が話題に
第一回投票(12/6)では、マリーヌ・ル・ペン氏率いるFront National(国民戦線。メディアではよくF.N.と省略されます)が高得票。ただ、さすがに過半数とはいきませんでしたので、どこも第二回投票が12/13に行われました。
F.N.は、言ってみればフランスの極右政党。その台頭に危機感を抱いた政治家・知識人の発言や運動の話題で、メディアは持ち切り状態。第二回投票でFNが当選しないようにと身を引く(立候補を取り下げる)政党があったり、逆に「何があっても取り下げないぞ」と宣言する人がいたり。
そうして迎えた第二投票(12/13)。結果はみなさんご存知の通り。第一回投票であれだけの票を集めたF.N.は、13ある地方いずれにも選ばれませんでした。
投票のやり方は?
ところで、フランスの投票はどんなふうに進むかご存知でしょうか。投票日、有権者たちは自分が登録されている区のbureau de vote(投票所)へ。そこでcarte d’électeur(選挙者カード)を見せ投票するわけです。
投票する立候補者の紙を指定の封筒に入れるのですが、その作業は isoloirと呼ばれるカーテンで閉じる個室で行います。bulletin(投票用紙、投票したい人の紙を入れた封筒)の準備ができたら出て来て、urneと呼ばれる投票箱に入れます。
開票作業を見学しました
dépouillementと呼ばれる開票は、有権者の有志が行います。希望者は投票に行ったときその旨を告げ、選挙者カードを預けるそうです。
私はフランス人ではありませんので、投票も開票もできませんが、開票作業を見学してきました。私の行った投票所の話ですのでどこもそうとは限りませんが、そちらでは以下のように作業が進みました。
すべて手作業でチェック
この日の投票数は650余り。まずすべての封筒を数え、100ずつ大きな封筒に入れます。そのあと、4人ずつ座った4つのテーブルに、100票入った大きな封筒をひとつずつ運びます。4人は手分けして、まずちゃんと100票あるかどうか確認。
その後、2人の数え役と2人の書記役に分かれます。数え役は封筒から出した紙を広げ、投票された人の名前を告げます。投票用紙に書き込みがあったり破損されている場合は無効となりますので、2人でしっかりチェックするわけです。あとの2人は書記役で、数えられた投票をそれぞれ書類に書き込みます。
「問題票」を選り分ける
私が見守ったテーブルでも、書き込みされたりちぎられた紙が入っている封筒がいくつかありました。また、空の封筒の投票もありました。
そういう「問題票」は、投票所の責任者(私が行った場所では市長)に確認してもらいます。それから封筒に戻して、責任者とテーブルの4人全員のサインを入れて別に置きます。書記は、それぞれのケース(らくがきなのか、破れているのかなど)の欄に問題票の数を記入。
100枚数え終わった時点で集計を取り、書記がそれぞれ書いた書類二部の内容が同じであることを確認し、両方に4人がサイン。責任者のサインを得て、一連の作業の終わりとなります。
見学だけでも充実感
今回はこれを二回繰り返したので1時間半ほどかかりましたが、手作業というのは連帯感を生むようで、終わった時は、見学していただけの私と息子もなんだか充実感を覚えたくらいでした。
開票見学に子供を連れてきた人は他にも2、3人いました。確かに、こんなぴちぴちの生きた社会見学、逃す手はないかもしれませんね。
次は大統領選
次の大きな選挙は2017年大統領選。遠い話のようですが、案外すぐかもしれないと思うのは、年末だからでしょうか…?
執筆 ゆき