日本でも有名なフランソワ・オゾン監督。2013年には Jeune et Jolie が公開され、カンヌ映画祭のコンペティション部門で上映されました。今回はフランソワ・オゾン監督の前作 Dans la maison をご紹介します。
文学好きにおすすめ
Fabrice Luchini 演じる Germain は高校のフランス語教師。「週末の出来事を書きなさい」という課題を出したところ、「ピザを食べた」「テレビを見た」とやる気のない数行の作文ばかりが戻ってきました。ひどい出来に頭を抱えるGermainでしたが、その中でひときわ異彩を放つ Claude の作文が目に留まります。
彼は同級生 Rapha の家での出来事をこと細かに描写していたのです。特にRaphaの母親へのまなざしは普通のものではありません。そして最後には à suivre…と必ず書かれていて、Claude は課題ではない作文を提出し続けます。
まるで人の家の生活を鍵穴から覗きみているような感覚に二人ともすっかりのめり込んでしまいます。いけないとわかっていることをする Claude、それを助長するようなアドバイスを続けるGermain。指導をする立場と指導を受ける立場という関係は、時間とともに変化していきます。
しかし、歪んだ欲望の先には不幸な結末が・・・・・・。
Claude役のErnst Umhauer
あとがき
物語の外の観客までも中に引きずり込むような力のある作品でした。すべての出来事から目が離せなくなり、まるで自分が人の家に勝手に入り込んでいるかのような気分になります。見ている間中、ずっとどきどきしていました。
Germain 先生の「物語の書き方」講座もなるほど、と見入ってしまいます。文学や物語に興味がある方にお勧めの映画です。
執筆 Shoko