
2026年9月15日(火)、警察官、ガス・電力会社の従業員などが本日ストライキを決行し、シャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Elysées)などパリ市内でデモ行進が行われます。その理由について、地元メディアが報道しています。
警察官、昇給・キャリア・労働条件、安全確保の改善要求
警察官の中でも主に平和維持警察官(gardien de la paix)と警察補助官(policier adjoint)で構成される労働組合、アリアンス・ポリス・ナショナル(Alliance Police nationale)は、「昇給、キャリア形成、労働条件の改善、安全確保への回答と具体的な行動を要求する」と、組合員にストへの参加を呼びかけました。
組合の発表によると、警察官に支給される危険手当(ISSP)は2019年から金額の見直しがされていません。組合側は、今月内務大臣ローラン・ニュニェス(Laurent Nuñez)と複数回にわたり協議を行いましたが、「要求は聞き入れられなかった」として、本日フランス国内複数の都市でデモ行進を行います。
電力・ガス会社の従業員向け特別料金の「維持」を要求
今年7月、国や公共機関における公金の使途の健全性を監視する会計検査院(Cour des Comptes)は、電力会社EDFの従業員向け「特別料金の維持は不可能である」、と発表しました。
今回の発表内容によると、EDFグループの従業員には電気が「現物支給」(avantage en nature)されており、それにかかるEDF側の費用は、2024年時点で実に7億ユーロ(約1250億円/1ユーロ=約178円)にも上ります。
基本料金無料、破格の電気代、自宅以外も適用
この現物支給では、まず電気代の基本料金は無料です。さらに電気料金も「従業員向け特別料金」(tarif agent)と呼ばれる破格の割引料金が適用されます。
しかも、適用される物件は現行では自宅だけでなくセカンドハウスなども対象になっています。
退職後も優遇料金、EDFに膨大な負担、39憶ユーロ
問題は、この優遇が現役の従業員だけでなく、一定条件を満たせば退職後も生涯適用されることです。
そのため、EDFグループは将来の負担に備え、会計上の引当金を計上しています。実際、2024年末に同企業は、従業員及び退職者へのエネルギー優遇費用に39憶ユーロ(約6,966億円)相当を引き当てています。
この特別料金の対象になっているのは、EDF、ガス会社のGDF(Engie, Enedis, GRDFを含む)現役及び退職者、さらには地域のエネルギー販売業者など他の企業の従業員も含まれています。
なぜ「歴史的な制度」がまだ残っているのか?
EDFは1946年に国有化され、その後株式会社として上場しましたが、現在は国が100%株式を保持しています。従業員は公務員ではありませんが、この時に電力やガス事業従事者に与えられた特別な身分制度がつくられ、現在も対象者は約98,500人います。
会計検査院もこの「従業員向け特別料金」を「歴史的な制度」と位置付けています。
一般消費者の2%しか払っていない、組合は異議
会計監査院は、この制度の恩恵を受けている従業員は「一般消費者の2%未満しか料金を払っていない」と指摘しています。労働組合側はこれに対し異議を唱えています。
政府は、この「従業員向け特別料金」の「優遇幅」を縮小することを検討しています。エネルギー省によると、会計検査院から「この特別料金と実際のエネルギー料金との価格差を適正に評価し、制度を是正するよう通告を受けた」と発表しています。
組合は猛反発でスト決行
これに対し組合側は、この特別料金による「会社負担は一般消費者が払う料金全体の1%未満」でしかないと主張し、「政府の挑発だ」として、大掛かりなストへの動員を呼びかけました。
一方、経済相ローラン・レスキュール(Roland Lescure)氏は、「労使協議を踏まえた適切なスケジュールで進めるべきだ」と述べています。
この制度改革は、最終的には大臣令(arrêté ministériel)により決定されます。
出典:FranceInfo
執筆:マダム・カトウ











