
画像はサンマルタン運河の北端、ラ・ヴィレットの遊泳場
2026年6月19日(金)、今週からフランスで再び始まった全国的な猛暑の影響が、各方面に広がっています。フランス国鉄(SNCF)は一部路線で列車の運行本数を減らしているほか、教室内の気温上昇を理由に休校措置を取る学校も出ています。また、自治体によっては来週のバカロレア(高校卒業資格試験)の口頭試問の日程変更などの動きもみられます。21日(日)には、毎年恒例の音楽祭が全国各地で開催される予定ですが、猛暑の影響で延期や中止を決める自治体も出ています。一方、パリ市は暑さ対策の一環として、サンマルタン運河の一部で遊泳禁止措置を解除し、市民に開放しています。
列車運休、車両老朽化でエアコンに不安
フランス国鉄は猛暑の影響を受け、22日までのダイヤについて、アンテルシテ(Intercités:都市間の在来線特急列車)を含む71本の列車を運休すると発表しました。
運休の理由について同社は、車両の老朽化によりエアコンが故障する可能性が高まるためと説明しており、特に気温が最も高くなる午後の便に影響が出ています。
また、外気の温度が30℃を超えると、レールや架線の温度は60℃近くに達し変形するおそれがあります。そのため同社は、列車の運行に支障が生じないかを監視するための専門チームを配置しています。
企業のエアコン導入率64%、学校はわずか7%
フランス全国のリセ(lycée : 高校)では、来週、バカロレアの口頭試問試験が実施されます。西フランス、ポワティエ(Poitiers)市の教育委員会は、すでに22日及び23日の午後に予定されていた同試験を1週間延期すると発表しています。
トゥール(Tours)市のある小学校では、昨日から本日の2日間にわたり午後は休校となりました。
地元メディアの取材に応じた、6歳の子供を持つキャロリーヌさんは「教室内の気温は午後16時には36℃になったため、学校側が子供を帰宅させることにした」と述べています。
フランスの環境・エネルギー政策を担う公的機関、フランス環境移行庁(ADEME)の発表によると、2021年時点でエアコンを完備しているフランスの教育機関は全体のわずか7%でした。同じ調査で、民間企業は64%でした。
南仏では教室にエアコン、かなり普及も
ニースの小学校校長で、学校長組合の書記長を務めるティエリー・パジョ(Thierry Pajot)氏は、「環境に悪いエアコンの設置は批判の的でもあることは承知だが」、と前置きした上で「自らが勤務する学校の教室すべてにエアコンがついていて本当によかった」と述べています。
なぜなら、「児童が授業に集中できる気温は24℃までで、それ以上暑くなると集中力がなくなる」からです。
都市開発の専門家によると、コルシカ島のアジャクシオ(Ajaccio)市ではほとんどの学校にエアコン設備がありますが、多くの場合一部の教室や公共スペースに限られています。
パジョ氏によると、学校にエアコンを導入するかどうかは自治体の判断によります。
フランスでは、公立校の建物は、小学校の場合は市、中学校は県、高校は地方の所有物になりますが、そもそもエアコン設置を想定していない建物への設置には大掛かりな工事が必要で、多くの自治体にはその予算がないのが現状です。
そのため、300ユーロ(約55,200円/1ユーロ=約184円)ほどの簡易的な冷房機を購入する自治体が増えています。
パリ、サンマルタン運河が遊泳禁止解除に
5月末の猛暑の際、パリ10区と11区にまたがるサンマルタン運河(Canal Saint-Martin)では、遊泳禁止にもかかわらず運河に飛び込んで泳ぐ若者が後を絶たず、警察が出動して取り締まりにあたっていました。
こうした取り締まりにかかる労力や費用に加え、今週から1週間以上続くと予想される猛暑への対応策として、パリ市は方針を転換し、監視員を配置するなどの安全対策を講じたうえで、運河の一部を市民に開放しました。
開放にあたっては、毎朝係員が水質を測定し、安全性を確認したうえで利用を認めています。
この運河のランドマークとなっている歩道橋からの飛び込みは引き続き禁止されていますが、メディアの取材中にも子どもたちが次々と運河へ飛び込む姿が見られました。
毎年恒例の音楽祭、キャンセルする自治体も
6月21日、夏至の日は毎年フランス各地で音楽祭が開催される日として、すでに国際的にも知られています。パリ市などの大都市に限らず、地方の市町村でも至るところで開催されます。今年も多くの自治体が予定している中、今回の猛暑で最も高温が予測されている、21日の開催を断念する自治体がでています。
このイベントの多くは屋外で行われるため、外気の温度が40℃近くになると、演奏者やスタッフ、ボランティア、警備員などの関係者みならず、訪れる市民が熱中症になるといった可能性が高いため、自治体はその防止や対策を施すマンパワーや経費がないことを理由に挙げています。
出典 france Info、20minutes
執筆:マダム・カトウ












