2026年5月12日(火)、今年で79回目となるカンヌ映画祭が本日開幕、会場の赤い絨毯には、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブをはじめ多くのスターが登場し、今日から10日間、日本からの3作品を含む22作品の中から栄誉あるパルムドール賞(Palme d’or)の選考が行われます。この期間のカンヌ及び沿岸都市での経済効果は膨大で、今年は約2億ユーロが見込まれる、と地元メディアは報道しています。
フランスのメディアが注目する、カンヌの「常連」5監督
1)是枝佑和
今年で11回目のカンヌ参加となる是枝監督は、今回、近未来を舞台に、最先端技術を備えたロボットを自宅に迎え入れる夫婦の物語を描いた『箱の中の羊』(英題:『Sheep in the box』)で公式コンペティション部門にノミネートされています。
同監督は2013年『そして父になる』で審査員賞を受賞、さらに2018年に『万引き家族』で金賞のパルム・ドール賞を獲得しています。是枝監督はノミネートだけにとどまらず、2024年には長編作品の審査員も務めています。
2)ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)
カンヌ映画祭11回目の参加、2017年には審査員長も務めた世界的に有名なスペイン人監督は、今回、最新作『Amarga Navidad』(仮題:ほろ苦いクリスマス)でノミネートされています。
ある映画監督が、身近な人物の悲劇的な出来事から着想を得て次回作を書こうとする姿を描いたこの悲喜劇は、フランスでは5月20日から一般上映されます。
3)フォルカー・シュレンドルフ(Volker Schlöndorff)
今から47年前の1979年、『ブリキの太鼓』でパルム・ドール賞を受賞したドイツ人監督は、今年はカンヌ・プレミア部門に長編作品『Bois de Klara』(仮題:クララの木)で参加、自国の歴史を振り返りながら、ナチズムの台頭、ソ連による占領、ドイツ再統一といった歴史的出来事を描いています。
4)ジェームス・グレイ(James Gray)
今年数少ないアメリカ人監督の一人、グレイ監督は8回目の参加となります。ロシアマフィアに関わる事件に巻き込まれてしまった二人の兄弟の冒険を描く新作『Paper Tiger』は、アダム・ドライバーやスカーレット・ヨハンソンなど豪華キャストが出演しています。まだパルム・ドール賞を受賞していない同監督に期待が寄せられています。
5)黒沢清
2008年に『東京ソナタ』で審査員賞を受賞した黒沢監督は、今年で6回目の参加となり、戦国ミステリーの大作『黒牢城』(仏題:Le Château d’Arioka)をカンヌ・プレミア部門に出品しています。
協賛企業のTIKTOK解約、今年はメタのAIグラス
カンヌ国際映画祭は、昨年まで協賛企業だったTikTokとの契約を解約しています。
2022年に始まった協賛では、インフルエンサーによる投稿や、コンクールなどが行われていましたが、SNS上では映画の内容やクオリティよりも、スターや映画祭のきらびやかな一面に注目が集まり、また、映画のコンテンツの不正使用が横行するなどの問題が浮上していました。さらに、若年層の利用が高いこのSNSは若者のメンタルヘルスに害を及ぼす、という議論が国民議会で高まったことから、イメージダウンを危惧した映画祭の主催者側が協賛を解消するに至りました。
AI通訳でインタビュー
若年層へのSNS依存という意味では、メタ社のInstagramも同様に問題視されているわけですが、今年は同社がTikTokに代わって協賛企業の契約を取りました。
同社の提供するAI技術を利用して、スティーブン・ソーダバーグ監督がドキュメンタリー映画『John Lennon : The Last interview』(ジョンレノン:最後のインタビュー)にて、ジョンとヨーコの心理を描いたことが注目されています。
今回のカンヌでメタはレイバン社との提携でAI搭載グラスを製作し、赤い絨毯の上を歩くスターが着用したり、その9か国語の翻訳機能を利用して、インタビューが行われたりしています。
地元カンヌ、周辺地域への膨大な経済効果
地元メディアがカンヌ市観光担当次官に取材したところによると、映画祭の参加者は140か国から4万人、映画市場の関係者が1万5千人、公認のジャーナリストは90か国から4,000人など、映画祭開催期間中の10日間で人口わずか7万人のカンヌ市をその倍近くの関係者が訪れます。
さらに映画ファンや観光客など、合わせて約20万人がカンヌ及び周辺地域を訪れ、その経済効果はカンヌだけで7,000万ユーロ(約129憶5,000万円/1ユーロ=約185円)、周辺地域を入れると約2億ユーロ(約370億円)が見込まれます。
出典:FranceInfo、RadioFrance
執筆:マダム・カトウ












