2026年5月8日(金)、フランスで最も訪問されている世界遺産の一つ、シャンボール城(château de Chambord)の一部が倒壊の危機にさらされています。1519年、フランソワI世の命で建設が開始されてから500年以上が経過、老朽化に加え近年の水害や干ばつなどの影響で壁にひびが入るなど深刻な状況になっています。大掛かりな修復が進められていますが、時間との闘いが続いています。
フランソワI世翼 倒壊の危機、建築構造の限界
美しい外観からは想像がつかないものの、内部では壁のひび、床の穴、天井の梁が湿気で腐食され、いつ落ちてきても驚かない状況になっています。
シャンボール城は、庭園側からみた正面中央の2本の円塔部分が本館(donjon)とそれを囲う回廊でできています。回廊の四隅には円塔があり、その後ろ側に続く東翼に王の居室がある建物(L’aile royale)は、最も損傷が激しく、倒壊のさらされています。
たった6年で、規格外の構造
この部分は、当時としては「偉業」ともいえる非常に短い期間で建てられたといわれています。そのため、建築の常識を逸した「規格外」の構造になっているのです。
まず、屋根を支える構造部分、重い木組み部分が過度な圧力をかけ、壁を外に押し出しています。建物の正面外側部分であるファサード(façade)は、19メートルと非常に高いにもかかわらず、厚みはわずか1メートルしかありません。
その結果、このファサードの上部は、建物の基部とのズレが生じ、城を囲む堀の方向に19センチも傾いているのです。
2016年の大洪水で建物の基部に多大なダメージ
城の基礎部分にも大きな負荷がかかっています。
シャンボール城は湿地帯の地盤の上に立てられており、2016年にこの地域で起きた歴史的な大洪水の際、庭園全体が水で覆われ、さらにその結果、建物の土台部分は深刻な被害をうけています。
地元のメディアの取材に応じた歴史的建造物専門の建築家は、「この時、城はファサードの窓のすぐ下まで浸水しています。建物に入った水は地下に流れ、地盤をさらに弱めてしまっています」と述べ、水害によるダメージについて説明しています。
近年の気候変動により、洪水と干ばつを繰り返すことが頻繁に起きています。そのため、城の地盤が含む水分のレベルが常に激変しています。そのため、現在、シャンボール城周辺の河川の水量を調節するための調査も行われています。
シャンボール城の救済に巨額の費用、募金を呼びかけ
老朽化したこの城の補修工事は3,600万ユーロ(約66億4000万円/1ユーロ=約184円)もの費用が掛かります。
すでに3分の1は、文化省(ministère de la Culture)が予算を確保しています、残りの部分の資金調達に、シャンボール城は一般や企業からの寄付を募っています。
すでに60万ユーロ(約1億1,000万円)ほどが集まっています。
地元のテレビ局の取材に応じた訪問客の女性は、「いいことだと思います。たった5ユーロ(約920円)でも」と賛同しています。別の訪問客は「500年の歴史がつまった城の良いイメージと建築を維持することは重要だ」とのべています。
現在閉鎖されているフランソワI世翼、再オープンは2032年に予定されています。
日本からの観光客にも世界遺産モンサンミッシェルに次いで人気のロワール古城、倒壊する前になんとか維持してほしいものです。
シャンボール城は1981年、単独でユネスコ世界遺産に登録されましたが、2000年、シュノンソー城(Château de Chenonceau)やブロワ城(château royal de Blois)他20の城と共に、世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に含まれることになりました。
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出典:France Info
執筆:マダム・カトウ












