食べることが大好きで好奇心旺盛なフランス人と話していると、レストランや食について話題になることがよくあります。そのとき、彼らの口から「うまみ（ UMAMI ）」という言葉が自然と出てくることも少なくありません。今回は、私たちが親しんでいる日本料理がフランス人の食生活にどのような影響を与えているのか、さらにフランスで人気を集めている日本食についてもレポートします。
フランス寿司選手権が話題に！
一昔前までは、日本食といえばまず「お寿司」というイメージでした。今ではフランス各地で手軽に食べられる料理のひとつになり、子どもたちにとっても珍しい存在ではなくなってきました。
私がフランスに住み始めた頃は、「お寿司って何？」と説明するところからスタートでしたが、今では「お寿司大好き！時々買って食べてるよ！」と小学生が話すほど。街中のレストランだけでなく、スーパーでも気軽に購入できるようになっています。
８年前にフランス寿司選手権（ Championnat de France de Sushi ）が始まり、ここ数年、メディアで大きく取り上げられるようになりました。日本食・和食・寿司文化の広がりを象徴するイベントで、職人技だけでなく創造性や芸術性も審査ポイントになっています。フランス人が、お寿司を新しい食の発想を広げる料理として見ていることが伝わってきますね。
食生活や食に対する価値観の変化が！
健康志向が高まるフランスでは、バターやクリームたっぷりの高カロリーな食事より、ヘルシーなメニューが重視される傾向にあります。お腹いっぱい食べるよりも、バランス良く新鮮で安全な食を楽しむことに価値を見出す人が増えてきた印象です。
そこで、フランス人は和食に注目。和食はベースにしたあっさりとした味わいと旬の食材を大切にする繊細な盛りつけが特徴。そこで、ヘルシーで見た目にも美しく満足感のある料理として和食が脚光を浴びたのです。
パリではもちろん、このごろ地方でも日本食レストランが増えてきました。それだけ人気と需要が高まっていることを感じます。また、漫画やアニメで育った若い世代には、気軽に楽しめるラーメン店にも注目が集まっています。
おにぎりがフランスのブームに！
2018年頃、パリにおにぎり専門店が登場しました。当初、おにぎりは認知されていませんでしたが、３年ほど前から病院、駅、高速道路の売店などで三角形のおにぎりが売られるようになってきました。
ハムとチーズのサンドイッチの横に並ぶ数種類のおにぎりは、価格もサンドイッチより少しお手頃。サイズは日本のものよりやや大きく、ちょっと小腹が空いたときに買う人が多いようです。
日本人の友人たちがフランス産おにぎりを食べた感想は「お米が少し違う」「油っぽい」だったようです。日本のおにぎりと違いはあれど、それでもおにぎりはフランス人にとって好奇心を満たす ”日本の味” として浸透しつつあります。
私もホームパーティーで、梅干し・昆布・ツナマヨのミニおにぎりをたくさん作ったところ、あっという間になくなるほど好評でした。手軽につまめるところが魅力なのかもしれませんね。
和スイーツもじわじわと人気！
これまで、フランス人にとって日本料理は“デザートが物足りない”という印象がありました。しかし、抹茶やゆずの登場で、和とフレンチを融合させたスイーツが人気に！ 抹茶のティラミスやゆず風味のチーズケーキなどが話題を集めています。
日本の素材は、フランス人にとって“エキゾチックでヘルシーで繊細”という印象。クリエイティブなスイーツを提供するショコラティエやレストランでも見かける機会が増えています。
また、ヴィーガンスイーツとして人気が高まっているのが「MOCHI」です。餅の柔らかい食感、控えめな甘さ、そしてバター不使用という点が、健康志向のフランス人に支持されています。大福にチョコレートをかけたり、抹茶にラベンダーを合わせるなど、フランス風にアレンジされたものも多く、新しい味の発見があって面白いものです。
まとめ
自分の国の料理を「おいしい」と言ってもらえることは誇らしいものです。パリに限らず、地方でも日本人料理人の努力により、日々、新しい日本食の世界が広がっています。今後も新しい日本食材や日本食が認知され、食を通して日本に興味を持つ人たちがさらに増えていくことでしょう。
執筆 YUKO
