2025年8月19日(火)、9月1日の新学期を控え、今年も家族手当基金(CAF:caisse d’allocations familiales)より、子供のいる低所得層の家庭に、文具などの購入に使うための新学期準備金(allocation de rentrée scolaire :ARS)が支給されました。SNSではこの手当の支給に関し、ニセ情報も出回っています。
今年も500万人の子供が「新学期準備金」の恩恵に
新学期準備金は6歳~18歳の就学する子供のいる家庭に支給されます。子供のいるすべての家庭に支給される子供手当とは異なり、受給には親の所得制限があります。
今年の支給額は?
子供が6歳~10歳(小学生)の場合、一人当たり423.48 ユーロ(約72,900円/1ユーロ=約172円)、11歳~14歳(中学生)で446.85ユーロ(約76,900円)、15歳~18歳(高校生)で462.32ユーロ(約79,500円)が支給されます。
支給額はインフレ率により計算されるため、今年は前年比で1.7%増額されています。(ちなみに7月のインフレ率は1.5%)
支給条件は?
対象者はフランスに合法的に居住している人、つまり、外国人でもフランス人同様に受給対象となります。
支給条件は2023年の世帯年収が、子供一人の場合で28,444ユーロ(約480万円)以下、2人の場合35,008ユーロ(約602万円)以下、3人の場合41,572 ユーロ(約715万円)、それ以上は子供一人につき6,564ユーロ(約113万円)追加した年収が上限となります。
今年の12月までに6歳~15歳の誕生日を迎える子供のいる家庭には、家族手当基金より手続きなしに支給されます。
但し16歳~18歳の場合は、就学証明の提出が必要です。
今年の文具のお値段は?
フランス文具・事務用品業連盟(Association des industriels de la papeterie et du bureau (AIPB)の発表によると、今年の中学1年生(6e)一人当たりの文具の平均購入額は211,10ユーロ(約36,300円)と、昨年の223,46ユーロ(約39,400円)から5.53%下がりました。
店舗における平均額が減少に転じたのは、過去数年間で初めてのことで、内訳は、ハードディスカウンターで-8%、スーパーマーケットで-2.98%、文具専門店で-4.75%となっています。
オンライン購入でも3.82%下がっています。ちなみに最も割安なのはオンライン注文して店に行く「ドライブ」方式で、同じ中学1年生用で平均購入額は160.27ユーロ(約27,600円)です。
新学期直前になると「割高」に
フランス家族連盟(Familles de France)は、今年の新学期の準備のための一世帯当たりの支出額を発表しています。それによると、文房具代42.56ユーロ(約7,300円)対前年-6%、文具以外のカバンや本など102,02ユーロ(約17,500円)-3.57%、スポーツ具に60.51ユーロ(約10,400円)-8.59%と減っています。
一方、消費者団体(UFC-Que Choisir)の調べによると、今年の文具などの価格は2%上昇しており、
価格のピークは9月上旬だと発表しています。
SNSで文具準備金の偽情報も
本日の受給日を前に、TiktokなどのSNSで「文具準備金の支給には、XX日までにここにアクセスする必要があります」「このホームページに登録が必要」「ここをクリックしないと受給てきません」といった投稿が出回っていました。
毎年この準備金の支給時期になると「大型液晶画面やスマホが売れる」などの報道もあるなど、事実はさておき、一部で現金支給に疑問の声も上がっています。
執筆:マダム・カトウ