パリ五輪、セーヌ河岸での開会式まであと10日 準備はできたか

2024.07.16

2024日7月16日(火)、26日のオリンピック開会式まであと10日。開会式はオリンピック史上初の市中開催、しかもセーヌ河岸を選手団が船で入場、観客席のひな壇は河岸に設置、さらに河岸沿いの道路を封鎖してパリ市民に無料の立ち見スペースを確保することで、参加人数30万人と過去最大規模の開会式を予定しています。そのため、河岸付近は数か月前から巨大な工事現場と化し、一部のメトロの駅は封鎖され、道路は通行止めだらけの状態です。

 

パリが巨大な牢屋に?セーヌ河岸付近の道、フェンス44,000枚で囲い

このところ日に日になにか不都合なことが起こるパリ市内、数日前からセーヌ河岸付近の歩道に川を囲むようにフェンスが至るところに設置されています。

近隣住民が「こんなの見たことない、刑務所に入れられたみたい」とコメントするように、住んでいるアパートのすぐ前の歩道にフェンスが設置され、道路の片側で通行できるのは、50㎝幅程度になっています。

美しい街並みも魅力のパリ、観光客にはちょっとがっかりな姿に変わっています。

美観だけならまだしも、河岸付近は一部でバスの運行が休止され、フェンスのせいで歩行もままならないため、近辺で仕事をする人にとって職場へのアクセスも大変です。

前代未聞の大がかりなテロ対策、フェンスは必須

開会式の参加者は有料席で10万4千人、路上の立ち見で22万2千人の合計32万6千人です。すでにパリには5万人の警官が配備されています。確かに7月に入り、街の至るところで警察官を見かけるようになりました。

パリ6区の区長は「市民に迷惑が掛かっているのは承知の上だが、警備は今回の五輪の大きなチャレンジだ。フェンスはどうしても必要」と述べ、理解を求めています。

 

近辺のカフェ、レストラン、土産物屋、50%~70%の売り上げ減

オリンピックだけで十数万人の観光客が見込まれる中、開会式の会場付近は通常時期よりも多くの集客を見込んでいました。

飲食店などはさぞかし儲かるだろうとおもいきや、フェンスで通行が困難になった場所は、人の流れが変わってしまい、カフェやレストランやお店は、オリンピック開催前から地元の人も含め客足が遠のいてしまいました。

開会式の日、シテ島、サンルイ島のカフェ、レストランは閉店命令

さらに26日、開会式の日は、セーヌ川の中州、ノートルダム寺院のあるシテ島(île de la Cité) とその隣のサンルイ島 (île Saint-Louis)の商店は、治安維持の確保から営業が禁止されています。

開会式が終わると営業再開が許可されていますが、7月18日以降、両島はアクセスパスとよばれるQRコードを持った人しか入れないため、商店やカフェへの売り上げへに大きく影響しそうです。

フェンス、開会式後取り払い

セーヌ河岸のフェンスは開会式の翌日には取り払われますが、トライアスロンなど、セーヌ川で開催される競技もあるため、再設置される場所もあるようです。

 

パリ五輪で「被害」の商店主たちに、迷惑料も

五輪のための安全対策により、売り上げが著しく落ちた、という飲食店などのオーナーへの救済策として、「遺失利益」を請求するための委員会がフランスの複数の省庁合同で設置さています。

五輪のための交通規制、フェンス、アクセスパスによる入場制限などによる「五輪被害」は多岐にわたっています。委員会側は「異常な売り上げの減少」で、その原因が「パリ五輪であると明確にわかること」を条件にしています。

申請受付は五輪終了後に開始されます。

今日のメトロには「パリ2024」のTシャツに「ボランティア」のバッジを付けた若者が乗っていました。

不都合の連続で五輪にちょっと冷めたパリ市民ですが、そろそろオリンピックムードが盛り上がるでしょうか?ギリギリで「帳尻を合わせるのが得意?」なフランス人、きっと大会史上に残る素晴らしい開会式になるでしょう。

執筆:マダム・カトウ

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