2024年7月12日(金)、26日の開会式を1週間後に控える17日、パリ空港公団(ADP)職員が属する主要4組合(CGT, CFDT, FO , Unsa)はストライキを行うと発表しました。空港公団側はストの影響はほとんどなく、フライトの遅延やキャンセルはないと発表しています。
五輪中の全員への特別賞与、1000人の大量増員要求
パリ、ド・ゴール空港(Charles-de-Gaulle)およびオルリー空港(Orly)、両空港を運営するパリ空港公団の組合は、すでに数か月前から五輪開催期間の特別賞与、すでに人員不足な中、大会期間中に社員が有給休暇を取ることを可能にするため増員を要求していました。
組合によると、公団側は一部の業務に携わる社員に限って五輪特別賞与を約束し、要求に見合う増員はされていません。
パリ空港公団、2023年も好業績
パリ空港公団の昨年の税引き前利益は4億3600万ユーロ(約755億2200万円/1ユーロ=約172円)、前年22年度の3憶6900万ユーロ(約639憶円)よりも15%以上も高い利益をだしています。この利益から株主に高い配当を出す潤沢な資金があることから、五輪期間中に多大な努力を強いられる社員全員に特別賞与を払い、増員は可能であると組合側はみています。
パリ空港公団側、五輪期間の空港の混雑、「例年の夏休みと変わらない」
一方、会社側は、例年夏のバカンスシーズンには1日あたり35万人の利用客があり、今年の五輪期間にその人数が大幅に増えることはないとしています。
さらに選手や大会関係者の受け入れに関しては、この期間限定で一般客と分けるなどの対策を講じており、そのための設備や人員は別途確保しているため、通常業務に五輪による付加はかからないとの見解を示しています。
組合側は会社側、特にADPグループ社長、オーギュスタン・ドゥ・ロマネ(Augustin de Romanet)氏が、組合との対話を拒否していることから五輪直前にもかかわらず、今月8日組合員300人の満場一致により17日のストの決行を決議しました。
警官も清掃員も五輪ボーナス
五輪期間の特別賞与に関しては、さまざまな公共サービス期間で交渉が行われており、警察官、パリ市の職員、パリ市付け清掃員、パリ地下鉄公団(RATP)組合は早々と獲得、さらに五輪期間を例外としないスト予告を行ったフランス国鉄(SNCF)も会社側との合意に至っています。
特別賞与要求の根拠は、利用者の一時的な大幅増にくわえ、7月、8月のバカンスシーズンに3週間~1か月休暇を取る習慣があるフランスで、会社都合でこの期間を避けて休暇をとるなど、職員は不都合を強いられることが主な理由です。
17日、ストの影響わずか?―パリ空港公団
5月19日にも同じ要求でストが行われましたが、決行、遅延など、フライトへの影響はほぼなかったことから、公団側は今回のストの影響もわずかとみています。
とはいえ、パリの二つの空港、ストやオリンピックがなくても夏休みやクリスマス休暇期間は大混雑になります。
五輪開催のこの夏、日本路線だけでも増便が行われる中、空港の運営が「いつもの夏通り」の混雑であることを、利用者としては祈るばかりです。
執筆:マダム・カトウ