今回もお馴染み「一言フランス語」のコーナーです。名詞の後ろに「dernier cri」をくっつけると、どういう意味になるでしょう?そもそも 「dernier cri」って何でしょうね。「最後の雄叫び」?
形容詞の意味はひとつだけではない
より想像しやすいように、例文をひとつ挙げましょう。
Il a acheté un téléphone mobile dernier cri.
どうでしょう、だいたいこういう意味かな〜という想像はつきましたか?形容詞の「dernier」は「最後の」という意味だけじゃないということをご存知なら、「cri」が無くとも正解を導き出せた方は多いと思われます。さて気になる答えは・・・
彼は「最新の」携帯電話を買った。 ”dernier cri = 最新の” でした〜。
でも、正解がわかったところでひとつ疑問が。「le dernier modèle de NOKIA」などと言われるように、「dernier」だけで「最新の」という意味を表せるのに、どうしてここでは「cri(叫び)」までセットになっているのでしょう?これは表現の仕方と使い方がちょっと違うだけで、意味は同じです。そして、「dernier cri」のほうには歴史的に興味深い由来もあるんですね〜。「最新の叫び」と聞いて連想できるものってありますか?それは、テレビもインターネットも無かった時代の話・・・。
実は、「dernier cri」には「最新の情報」という意味があるそうなんです。その昔、新聞すらも無い時代、最新の情報というのは市民広場で人の声によって叫び伝えられていたのです。日本で言う「号外〜!」と同じ感覚でしょうか(号外は新聞ですが・・)。
この「最新情報」を表していた「dernier cri」が時間の経過と共に、「最新の」という意味でも使われるようになったみたいです(辞書では【話し言葉】に分類されています)。
というわけでこの「dernier cri」、名詞の後ろにくっつけることができて、形容詞「dernier」は名詞の性数による語尾変化が無いようなので、使うのも簡単です!しかも「cri」という音にインパクトがあるので、勢い良く発音するとより「最新な感じ」が伝わりやすいかも?
子音が2つ続くうえに「R」が入っているので、簡単な発音とはいえませんが。
あとがき
発音練習も兼ねて是非使ってみてください。例えば…
Pour cet été, j’ai acheté une robe dernier cri !
夏の日差しと陽気が待ち遠しい私です。
執筆 Miwa