毎日フランス語に接していると、ふとした時に意外な言葉の使われ方に遭遇することがあります。
「えっ、どうしてその単語を、そこでそんな風に使うの?その場合どういう意味?」といった具合です。
“genre” も日常会話では意外な使われ方をしていますよ。
日常会話でしか聞かない表現
そもそも “genre” とは「種類、ジャンル」を意味する男性名詞。これを用いて作文する場合は一般的に限定詞をつけます。
例:un genre, le genre, ce genre de choses・・・・・・
しかし、会話においては無冠詞で耳にすることがよくあるんです。
Si on mangeait vite fait ? Genre sandwich, kebab, burger…
上記の例文はどういう意味だと思いますか?そして、無冠詞の “genre” はどう解釈すればいいでしょうか。
フレーズ全体の文意から察することができるかもしれませんね。
そうです、ここでの “genre” は “par exemple” の代わりに用いられています。
日本語訳すると「ささっと(何か)食べない?例えばサンドイッチ、ケバブ、バーガーとか…」
” vite fait(=ささっと、素早く)” という副詞表現(?)も会話でよく使われますが、参考書では見かけませんよね。
このような言い方を初めて耳にしたときは、どうして名詞の “genre” が無冠詞で文中に放り込まれているのか不思議で、たまらず相手に質問してしまいました。くだけた話し言葉なので筆記作文では使えませんが、音節の数は “genre” が圧倒的に少なく音も短いことを考えると、「短さ」が好まれる会話では使われやすいのでしょうね。
まとめ
「例えば」という意味での “genre” の用法、手持ちのロワイヤル仏和中辞典には載っていませんでした。
ということは、わりと最近使われるようになったのでしょうか。言葉というのは本当に、絶えず進化する生き物ですね!
皆さんも「単独のgenre」に気をつけてみてください。この他にも会話で意外な使われ方をしている単語や表現がありますので、これからも随時ご紹介していきます。
執筆:アンサンブルアンフランセ講師 Miwa