2月25日(金)、昨日24日、パリのロシア大使館前で在仏ウクライナ人ら数百人が集まり、プーチン大統領によるロシアのウクライナ侵攻への抗議デモを行いました。侵略戦争に抗議するとともに、フランスを含むEUへの支援を訴えました。
在仏ウクライナ人たち、プーチン大統領の野望へ怒り
母国から遠く離れていながらもプーチン大統領の侵略に抗議するため、パリ16区にあるロシア大使館前に数百人規模のウクライナ人、フランス人たちが集まりました。
プーチン大統領は今回の侵攻の目的に関し、ウクライナは「ナチス化」している為、「非武装化しなくてはならない」と主張しています。
集まったウクライナ人たちは、この発言をしたロシア大統領自らが「ナチス」でウクライナに侵略していると、怒りをあらわにしています。
「プーチン、テロリスト!」「プーチン、出ていけ!」と叫ぶキエフ出身のオルガさん(26歳)は、「プーチンは私たちウクライナ人の自由を奪い、資源を、特に小麦を略奪するために侵攻している」と怒りをぶちまけています。
オルガさんの友人アンドリーさんは、「プーチン帝国を築くという野望を実現するために、ウクライナ人とロシア人の命を奪うなんて信じられない」とコメントしています。
L'hymne ukrainien est entonné entre les "Poutine terroriste", "Poutine dehors" #Ukraine #Poutine pic.twitter.com/4LgqazH2C9
— Romarik Le Dourneuf (@rledourneuf) February 24, 2022
大多数のウクライナ人は「親ロシア」なのに
ブルーとイエローのウクライナ国旗に混じり、ロシア大使館に集まったデモ隊の掲げるプラカードには、『プーチン、ヒトラー!』と1939年にポーランドに侵攻したアドルフ・ヒトラーとプーチン大統領を照らし合わせたメッセージが書かれています。
プーチン氏はウクライナにいる「ネオナチ」の存在や、「親ロシア派」住民への「迫害」や「虐殺」などを侵攻の理由に上げています。
これに対し、デモの参加者の一人、ジャン=クリストフ(Jean-Christophe)さんの妻ゾーヤさんは中部ウクライナのドニプロ出身ですが、「妻は親ロシアです。ウクライナ人の大多数は親ロシアです。(ウクライナの)ゼレンスキー大統領も親ロシアです。にもかかわらずプーチンはウクライナ人をナチス扱いとは!」と怒りをあらわにしています。
現地の家族、地方全体が封鎖で「逃げられない状況」
ジャン=クリストフさんとゾーヤさんをはじめデモに参加するウクライナ人達は、デモで怒りを表明すると共に、現地にいる家族や友人たちの安否を案じています。
「私の家族や友人たちは国のあちこちに散らばっています。空爆を受けている地域の近くに住んでいる人もいます。逃げようにも道路が封鎖されていたり、渋滞がすごくて逃げられない状態です。」
ゾーヤさんは目に涙を浮かべ取材にきた記者らに現地の妹が送ってきた写真を見せました。写真には爆撃による光が写っています。
「私の家族が住んでいる地方全体が封鎖されており、妹にはただ地下や庭に避難し、食料を買い溜めて待つようにと言うしかありませんでした」と語りました。
ウクライナはヨーロッパ、「見捨てないで!」
デモに参加したカタリーナさん(45歳)は、「母国がなくなるのではないかと怖くて仕方がない。そして国と一緒に姉と姪も…」と涙ながらに心配しています。
抗議デモに参加した多くの人は、カタリーナさんのように心配と悲しみと恐怖の入り混じった感情を隠すことができません。
それでも気を取り直して「ウクライナはヨーロッパなんです。私たちウクライナ人はヨーロッパ人だと感じています。だから私たちを見捨てないでください」とフランスを含むEUに対して支援を訴えています。
フランスや国際社会の支援を訴える声が鳴り響くデモ隊の中には、グルジアやポーランドの国旗も入り混じっています。
プーチン氏の帝国を築く野望がウクライナのみならず、他の旧ソビエト連邦国や周辺国に及ぶことが懸念されています。
執筆:マダム・カトウ