フランスと言えば、お菓子 Patisserie ! パティスリーと聞くとなんだかワクワクしますね。フランス語が話せなくても、自然と聞き覚えのあるフランス菓子の名前はたくさんあると思います。例えば、モンブラン(Mont-blanc)やミルフィーユ(Mille-feuille)。いろいろなお菓子がある中に、人に例えられたような名前のお菓子が結構あることに気がつきました。今回はそんなお菓子たちをご紹介します。
修道女、コンゴ人、イエズス会
religieuse ルリジューズ 〜修道女〜
カスタードクリームやシブストを詰めたシュークリームの上に小さなシュークリームをのせて、アイシングをかけ、バタークリームを絞ったケーキ(※)
シューの上に小さなシューを重ねたその形は修道女のようだと言われています。
(※)新フランス料理用語辞典より〜以下、他のお菓子の定義も同辞典より
congolais コンゴレ 〜コンゴ人〜
卵白とココナツフレークで作った小さな焼き菓子
別名 rocher à la noix de coco, rocher coco ココナツの岩山。このお菓子がなぜコンゴと結び付けられているのか定かではありませんが、フランスではパン屋さんでも売っている庶民的で誰でも知っているお菓子です。
jésuite ジェズイット 〜イエズス会〜
フランジパンを詰めてアイシングでおおった三角形の小さなパイ
その形がイエズス会の修道士の帽子に似ていることが名前の由来だとされています。
外交官、金融家、そしてマドレーヌ
diplomate ディプロマット 〜外交官〜
固くなったブリオッシュを牛乳に浸したものとフルーツの砂糖漬け、アプリコットジャムを交互に重ねて型に入れてバヴァロワのアパレイユを加え、オーブンで湯煎にかけて冷ましてから、クレーム・アングレーズかチョコレートソースとともに食べるデザート
名前の由来は諸説ありますが、1815年のウィーン会議の時に、外交官で美食家のタレーランがそう名付けたと言われています。
financier フィナンシエ 〜財界人/金融家〜
ビスキュイ生地にアーモンドパウダー、泡立てた卵白、溶かしバターを加えてオーブンできつね色に焼いた長方形または楕円形のお菓子
こちらも諸説ありますが、金の延べ棒の形に似ているからなどと言われています。聖母訪問会で作られていたヴィジタンディーヌ(visitandine)というお菓子が元になったと言う説があります。
madeleine マドレーヌ 〜マドレーヌという女性の名前〜
レモン汁、オレンジエセンス、砂糖、卵、卵黄を混ぜ、小麦粉と溶かしバターを加え、貝殻型に入れてオーブンで焼いたケーキ
諸説ありますが、マドレーヌという女性が最初に作ったと言われています。それはコメルシーという町(フランス東部)の女性だったと言われ、今でもマドレーヌが町の特産品になっています。
また、まったく場所は違いますが、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼に行く巡礼者にマドレーヌという女性が焼いたお菓子が振る舞われていた、という説もあります。マドレーヌを焼く型として使われた帆立貝は巡礼のシンボルであり、聖ヤコブ (スペイン語でサンティアゴSantiago、フランス語でSaint Jacques)のシンボルでもあります。フランス語で帆立貝をcoquille Saint Jacques(聖ヤコブの貝)というのはこのためです。
まとめ
フランス語のお菓子の語源を調べてみるとなかなかおもしろいですね。人の名前や職業などに例えられたものだけではなく、地名が元になったものなど、たくさんの興味深いお菓子の名前があります。なんだかフランス菓子が食べたくなってきました。
執筆 ペレ信子
ブログ:Plaisir de Recevoir
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